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410:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/29(月) 23:41:33.60 ID:sMDby2FSo

僕はその日のうちに奈緒に電話した。叔母と別れて帰宅してもやはり家には両親はいな
かった。

 ワンコールで電話に出た奈緒はやたらにテンションが高かった。

「やっぱりさっそく電話してきた。お兄ちゃんって本気でシスコンだったのね」

 奈緒が電話口で機嫌良さそうに屈託なく笑った。

 僕は明日香の退院の付き添いと、そのために明日は奈緒と約束したとおり朝一緒に登校
できないことを伝えた。

「妹さん病気なの」

 奈緒が明日香のことを妹さんと言うのには何か違和感があった。僕の妹はおまえだ。

 僕は一瞬そう思ったでも、それじゃあ明日香は僕の何なのだろう。奈緒と付き合い始め
てからは僕の彼女は奈緒で僕の妹は明日香だった。これからはどうなるんだろうか。

 今では奈緒は僕の妹だった。だから僕の初めての彼女は消えていなくなってしまったの
だ。そのことがつらくないと言ったら嘘になる。でもフラバのこともあるし、何よりかつ
ての僕の最大のトラウマだった奈緒との強制的な別離が十年もたってから劇的な再会によ
って解決したのだから、僕はもうそれで満足なんだと考えることにしていた。

 それに奈緒は僕の彼女だったことなど忘れたように、兄との再会を無邪気に喜んでいる。
恋人としての奈緒に未練があるなんて彼女に気がつかれてはいけない。

「ちょっと怪我しちゃったんだけどね。大したことはなかったよ」

「そうなんだ。よかったね」

「うん、ありがと。明日は退院の付き添いだけど、明後日以降は妹の容態によっては学校
を休んで面倒を見なきゃいけないかも」

 それはさっきから考えていたことだった。平日の昼間は間違いなくうちには母さんはい
ない。明日香の外傷は大したことがないと言っても退院してすぐに登校できるわけがない
し、そんな明日香を一人にしておくのもかわいそうだ。

「お母様は?」

 少しだけ遠慮したように奈緒が聞いた。そういえばまだお互いの家族の近況とかは、奈
緒との間には全く話題に出ていなかった。

「母さんも父さんと音楽雑誌の編集をしているんだ」
 僕は家の事情を奈緒に話た。「だから普段は昼間はもちろん、夜だって滅多に家にいな
いよ」

「そうか。じゃあしばらくは朝お兄ちゃんと会えないね」

 奈緒が言った。


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