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476:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/05(月) 22:48:51.39 ID:NbEGfaswo

 僕は大きく息を吸った。この決心によって傷付く人は誰もいない。明日香の望みをかな
えられるし、僕のことを実の兄として改めて別な次元で慕い出した奈緒だってもはや傷付
くことはない。叔母さんだって僕たちの味方をしてくれるはずだった。

「明日香」

 明日香は僕の髪を撫でる手を止めて僕の方を見た。

「・・・・・・まだ苦しい?」

「いや。そうじゃないんだ」

 僕は体を起こし、半ば僕に覆いかぶさるようにしていた明日香を抱き起こすようにして
自分の隣に座らせた。

「おまえが言ってたことがあるじゃん。僕のことが好きだって」

 明日香が怪訝そうな表情をした。

「言ったよ。それがどうしたの・・・・・・あ」

 そのとき明日香の表情が何かに怯えるような影を宿した。

「よく考えてって言ったのに。あたし、お兄ちゃんにもう振られるの?」

 本心で明日香のことを奈緒以上に愛しているかと聞かれたらそれは違う。でも少なくと
も明日香が大切で心配な存在であることは確かだった。僕が一番つらい時期にぼくを支え
てくれた明日香のことが。

 それにこれだけは嘘じゃなく本当だった。明日香のその怯えた表情を見たとき、僕は心
底から明日香をいとおしく感じたのだ。

「僕たち付き合ってみようか」

 一瞬、驚いたように目を大きく見開いた明日香の表情を僕は可愛いと思った。

「お兄ちゃん、それってどういう意味」

「どういうってそのままの意味だよ。っていうか僕に告白してきたのはおまえの方だろ
う」

 次の瞬間、僕は明日香に飛びつかれ、ソファの背もたれに押し付けられた。

「だめだと思ってたのに・・・・・・絶対に断られるって諦めてたのに」

「・・・・・・・泣くなよ」

「嬉しいからいいの。お兄ちゃん大好きだよ」

 僕も明日香の体に手を廻して彼女を抱き寄せた。そのとき一瞬だけ記憶に残っていた幼
い奈緒の声が頭の中で響いた。

『お兄ちゃん大好き』


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