500:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/10(土) 00:12:40.94 ID:UmSWG1/8o
僕は明日香の横たわった体の顔の隣のあたりに腰かけた。明日香が片手を上げて僕の腕
に触れた。
「ごめんね」
明日香がぽつんと言った。
「何が?」
「あたしが昔バカやってたからこんなことになっちゃったんだよね」
さっきまで顔色一つ変えず気丈に警官の質問に答えていた明日香は今では曇った表情を
見せている。
「おまえのせいじゃない。悪いのは飯田だろ」
「あたしはもうお兄ちゃんに迷惑かけたりお兄ちゃんが恥かしいと思うような友だちとは
二度と付き合わないからね」
「うん」
「・・・・・・奈緒や有希みたいに誰が見てもお兄ちゃんにとって恥かしくない女の子になるか
ら」
奈緒はそうかもしれないけど有希は少し違う気がする。でもそれは今明日香に言うこと
じゃない。
「別に今だって恥かしくなんかないだろ」
「優しくしなくていいよ。それよりこんなことしてたらお兄ちゃんに嫌われちゃう方が恐
い。せっかくお兄ちゃんの彼女になれたのに」
明日香が言った。
「こんなことで嫌いになんてなるか」
「だって・・・・・・お兄ちゃん、僕たち付き合ってみようかって言った」
明日香がいったい何を言っているのか僕には理解できなかった。
「言ったけど・・・・・・嫌だった?」
「ううん、嬉しかった」
明日香が話を続けた。
「でも、どうせならおまえのことが好きだとか、付き合ってみようかじゃなくて僕と付き
合ってくれって言われたかったな。付き合ってみようかじゃお試しみたいで不安じゃん」
「考えすぎだよ。お試しとかそんなこと考えて言ったわけじゃない」
「ごめん、そうだよね。さっきまでは何の不安も感じなかったけど、警察の人の質問に答
えていたら不安になっちゃった。あたしってお兄ちゃんにふさわしくないのかもって」
明日香が苦労してソファから身を起こして僕を見た。
「確かにあたしは池山に助けられたし飯田たちとも遊んでたけど、もう二度とそんなこと
はしないの」
「うん」
「だから・・・・・・お兄ちゃん、ずっとあたしと一緒にいて。パパとママとあたしとお兄ちゃ
んでみんなでずっと一緒に暮らそうよ。あたしのこと捨てないで。もう誰もいらないよ。
お兄ちゃんがずっとあたしの彼氏でいてくれたら」
僕さえいたら誰もいらないと一番最初に言ってくれたのは、まだ幼かった奈緒だった。
今改めてそれと同じ言葉を明日香から聞かされた僕は、自分では決断したつもりだったこ
とを自分の中では曖昧に済ませていたことに気がついた。
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