529:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/13(火) 23:52:12.17 ID:hx9segxTo
「もういいでしょ」
明日香が震え声で言った。「もう帰ろうよ」
まずいなこれは。俺は反射的に明日香を連れてきたことを後悔した。いつもは付き合い
の悪い明日香がこういうときに限って一緒に着いてきたので俺も少し調子に乗っていたか
もしれない。
「・・・・・・明日香がいたか」
飯田がそれでも一応は俺の彼女に配慮する気になったようだった。「池山さ、明日香に
はもう帰ってもらった方がいいんじゃね」
「・・・・・・そうだな。明日香一緒に帰るか」
俺は明日香にそう言ったけど、明日香はじっと俺の方を睨んでいた。
その時小さな悲鳴が聞こえた。仲間の一人が有希の指示どおり有希には手を出さず震え
ている奈緒の方を無理矢理抱き寄せたのだ。
「黙れ」
そいつは奈緒を脅した。「おまえ死にてえの?」
「名前を言えよ」
飯田がわざとらしく言った。こいつの名前が鈴木奈緒であることは百も承知だったはず
なのに。
無理矢理抱き寄せられながら俯いていた奈緒は仕方なさそうにぼそぼそと何か言った。
「聞こえねえよ。もっとでかい声で言え」
「・・・・・・鈴木奈緒」
「奈緒ちゃんか。こいつ富士峰の生徒じゃん。池山おまえ本当にいいの? おまえの好き
なセーラー服の女の子だぜ」
飯田が俺にそう言った。でも飯田の視線は冷静だった。女の子を弄ぼうとしている際の
興奮なんて微塵も感じられない。飯田の伝えたいことはよくわかった。
『有希が見てるんだぞ。言われたとおりにしろこの馬鹿野郎』
怯えて凍り付いているような態度の有希だけど、その視線はきっと鋭く俺たちの行動を
監視しているに違いない。
このとき明日香は自分の肩を抱いていた俺の手を振り払った。
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