546:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/15(木) 23:47:12.03 ID:o39L6oyZo
彼氏という言葉に反応したのか、ようやく明日香が毛布の下から顔を覗かせた。
「・・・・・・んで」
ようやく明日香が低い声で返事した。
「え」
「・・・・・・何であんな」
明日香がようやく僕と目を合わせてくれた。
「何でお兄ちゃんはあんな目で叔母さんのことを見つめていたの? 何で叔母さんは潤ん
だ目でお兄ちゃんのこと見つめてたの」
「何を考えているのかわからないけどそれは誤解だから」
僕は言った。ここは正直に話す方がいい。
「確かに叔母さんが、その・・・・・・ああいう格好だったんで思わず見入っちゃったかもしれ
ないけど、別に叔母さんに特別な感情なんかないって。叔母さんだってそうだよ」
「・・・・・・そういう雰囲気には見えなかった。何か今にもお互いに告白しあいそうに見えた
んだけど」
「ないよ。僕だって男だからそれは叔母さんの体を見つめちゃったかもしれない。叔母さ
ん綺麗だし」
それを聞いて明日香が辛そうに僕から目を逸らした。
「でも恋愛感情とかじゃないんだ。今の僕には好きな女の子は一人しかいないんだし」
「どういうこと」
「もう忘れちゃった? 僕はおまえとずっと一緒にいようって決めたばかりなんだけど」
再び明日香が僕の方に視線を戻した。どうやら少しだけ明日香は僕の言うことを聞く気
になったようだった。
「明日香、好きだよ」
僕は真顔で言った。これが本音だったことは間違いない。どんなに僕が奈緒に惹かれて
いても奈緒は僕の妹だった。付き合うことも、ずっと一緒に二人で暮らすこともできない。
結婚して子どもを作ることもできない。何よりも再会した大好きな兄貴として僕を慕って
くれている彼女に対して、僕の正直な想いを話すことすら今では禁忌なのだ。
それに玲子叔母さんのことに関して言えば、それは明日香の完全な誤解だった。たとえ
僕が不実な恋人だったとしても明日香が嫉妬すべきは叔母さんではなくて奈緒の方なのだ。
でもそれは僕が言うことじゃない。僕はその考えを胸の奥にしまった。
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