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549:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/15(木) 23:50:09.49 ID:o39L6oyZo

 取材を終えた酒井さんは俺に茶色い封筒を渡してくれた。

「少なくて悪いけどこれ謝礼だから」

「あざーす」

 渡さんの面子は潰せないので俺は酒井さんに礼を言ったけど、俺の視線の方はさりげな
く向かいの席に涼しい顔で脚を組んで座っている玲子の姿を盗み見ていた。正直謝礼なん
てどうでもいい。俺の時間を潰したことに対する謝礼は、もっと別な形でこの目の前の女
から受け取ることに俺は決めていた。

「神山さん、これから社に戻るなら車で送りましょうか」

 酒井さんが玲子に言った。

「いや。今日はもう遅いし自宅に直帰するわ。ありがと酒井さん」

「わかりました。じゃあ池山君、今日はありがとな」

「渡さんの知り合いならぜんぜんOKっす」

 俺は精一杯好意的に言ったけど頭の中はこの後玲子が自宅に帰るという事実で塞がれて
いたのだ。ふと思い立って俺は酒井さんにメアドを教えることにした。捨てアドだから他
人に教えても危険はない。

「酒井さん、まだ取材したいことがあったらここに連絡してください」

 俺は言った。

「悪いな。ありがと」

 俺と酒井さんのやりとりには全く興味のなさそうな玲子の手元で携帯が振動した。メー
ルだったらしく玲子はちらりとディスプレイを眺めた。どういうわけか玲子はそのメール
を見て顔を赤くした。

 男か。俺は自分の心がささくれ立って苛立つのを感じた。これだけ綺麗なババアなら男
がいても不思議ではない。でも俺はそのとき冷静に俺を追い詰めるような話をしていた玲
子が偶然に俺に見せた女らしい子どもっぽい表情に嫉妬を覚えた。

 まあいい。今日は玲子はこれから家に帰るそうだ。そんな情報を無防備に俺の前で口に
したことをすぐに玲子には後悔させてやる。今夜は後悔という言葉の意味を大人のこいつ
の体にたっぷりと時間をかけて教えてやる。もう二度と彼氏のことなんか思い出せなくな
るくらいに激しく。

「じゃあ、俺たちは帰るから」

 酒井さんが言って二人は席を立った。

 レジで勘定をすませた二人はファミレスの前で左右に分かれた。

 俺はすぐに店を出て玲子の後を付け始めた。女の後を付けるのにはこつがある。タゲの
後ろ斜め反対側の歩道を歩いてつけるのだ。同じ側の歩道のすぐ後ろにいると見つかりや
すい。

 俺は駅の方に向かわずに住宅地の方に向かって歩いていく玲子の細身の姿を見つめなが
ら彼女を追跡し始めた。

 十分ほど歩いたところで玲子はマンションの玄関の方に入っていった。


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