過去ログ - ビッチ
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558:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/17(土) 00:20:24.34 ID:r5CGhVRqo

 半ば有希に引き摺られるようにしながら入ったSPIDERの店内には、渡さんがカウンター
の奥でグラスを磨いているほかにはまだ客の姿は見えなかった。この時間だとまだ開店し
たばかりなのだろう。

「おう博之」

 渡さんが俺を見て言った。

「ちぃーす」

「二日連続でおまえが顔出すなんて珍しいじゃんか」

 渡さんは笑って言った。そのとき俺の後ろにいた有希が富士峰のセーラー服姿のままで
渡さんにあいさつした。

「今晩は」

「なんだ有希ちゃんもいるのか。久し振りだね」

「うん。いろいろ忙しくてなかなか顔出せなかったの。渡さん、元気してた?」

 有希は可愛らしい笑顔を渡さんに見せた。それにしても中坊の有希は二十代半ばの渡さ
んに対してずいぶん馴れ馴れしい口を聞いていた。渡さんは全くそのことを気にしていな
いようだったけど。

「相変わらずだよ。有希ちゃんも元気そうだねって、制服はやばくないか?」

「この店なら平気。それにここ出たら真っ直ぐお家に帰るし」

 意識してかどうか、渡さんの前では有希は随分女の子っぽい話し方をする。もちろん商
売の話をここですることが多かったので、有希や俺たちが何をしているかや有希が俺たち
の仲間内で今ではどういう立場にいるかは渡さんはよく知っていた。

 それでも自分に対しては有希が女の子らしく振舞ってくれることを渡さんも気に入って
いたようだった。

「ねえねえ」

 有希が渡さんに話しかけた。

「どうしたの」

「来月の十四日は絶対お店にいてね。あたしその日は渡さんに用事があるから」

「・・・・・・俺なんかよりチョコあげたい人は別にいるんじゃねえの」

 渡さんは満更でもなさそうに苦笑して答えた。

「そんな人いないもん。渡さん絶対にお店にいてね。約束だからね」

「はいはい。有希ちゃんに言われたら逆らえねえしな」

「やった」

 有希が嬉しそうに言った。


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