564:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/17(土) 00:29:47.83 ID:r5CGhVRqo
自分の中で甥っ子の奈緒人を男として意識していることはとうに気が付いていたことだ
った。そしてその恋心をどうやって終らせようかとあたしはそれだけを考えるようにして
いたのだ。
これは三十路にかかろうとしている年増女の恥かしい妄想だとあたしは自分に言い聞か
せてきた。血が繋がっていないなんて考えてはいけない。それはこれまであたしを叔母と
して慕ってくれてきた奈緒人にとって一番残酷なことなのだ。
当然だけど、これまで奈緒人があたしのことを女として意識している素振りなんて一欠
けらもなかった。それなのにあのとき、いったい奈緒人は何であたしのことをじっと見つ
めていたのだろう。彼だって思春期の男の子なのだから濡れてぴったり体にくっついたブ
ラウス越しに女の裸身が露わになっていれば興味くらいは感じるだろう。
あたしは自分にそう言い聞かせたのだけど、それにしても処女のあたしにはあたしの肌
をじっと見つめていた奈緒人の視線は刺激が強すぎた。それでも奈緒人が平然としてくれ
ていればまだよかった。でもあのとき奈緒人は顔を赤くしてあたしの体を見つめていたこ
とを謝罪するような言葉を口にしたのだ。
きっと奈緒人はそれがどんなに叔母のあたしを悩ませて、期待と不安を抱かせたかなん
て考えもしなかったのだろう。あのとき半裸の姿で奈緒人に甘えようとしていた明日香は、
あたしを見てあからさまに不機嫌になった。ひょっとしたらあのときの二人は既にお互い
のお互いに対する愛情を確認しあっていたかもしれない。
それならあたしは自分が前に言ったとおりあの二人を応援してあげなければいけない。
そう考えようとしたあたしは、自分が今まで母親代わりに大切に育ててきた明日香に対し
て嫉妬心を感じていることに気が付いて本気で狼狽した。
もう本当に自分の気持を整理しなければいけない時期なのだろう。そう思ったけどあた
しは再びスマホのディスプレーを眺めた。
・・・・・・返事くらいはしておかなきゃ。奈緒人が心配するといけないから。無視すればい
いのに、あたしは奈緒人のメールに返信することに対して自分に言い訳した。
あまり重くしてはいけない。大切な話とかいう単語に過剰に反応してはだめ。奈緒人が
小学生の頃から彼を見守ってきた年上の叔母らしく余裕のある返事をしないといけない。
あたしは一時間以上も悩んだ挙句、結局素っ気ない返事を奈緒人にした。
from :玲子
sub :Re:無題
本文『いつでもいいよ。てか大切な話って何だよ。メールじゃ駄目なの?』
『まあ、仕事の合間とかでいいなら時間は取れるよ。今週中にそっち方面に行くことがあ
るからそんときに電話するよ』
『じゃあおやすみ、奈緒人』
『あとあんた何であたしに謝っているの?』
それは我ながらとても白々しいメールだった。
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