624:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/25(日) 23:45:45.53 ID:IlNJVsp/o
これが俺たちが付き合い出すきっかけになった。
俺は最初は別世界の美少女と付き合えたのだと思って自分の幸運に酔った。でも俺の想
いとは裏腹に明日香は急速に俺のダチたちのスタイルに順応し、それにつれて服装もメー
クも俺たちに付いて回る女たち同様、派手なものになっていった。俺はそのことを残念に
思ったけど、それでも明日香がもともと備えていた本質的な性格は少しも損なわれなかっ
たと思う。
俺のグループの飯田や女たちに外見を合わせて溶け込もうとしてしていた明日香だった
けど、行動の方まで染まったわけではなかった。仲間の中で彼女だけは関係のない他人を
傷つけることを極端に嫌がったのだ。この頃には有希の命令も行き届いていたので俺たち
は以前のような無茶ができなくなっていたけど、たまにはアクシデントでそういうことが起こる
こともあった。
そんなときの明日香は、巻き込まれた女の子が俺たちに何かされることに我慢できなか
ったようだ。明日香は俺に対して女の子を何とかしようとしていたやつらを止めるように
求めた。別に俺だって世間的にいい人と呼ばれるようなキャラじゃない。本当に純真で罪
のない子ならともかく、この時間に男の腕にぶら下がっているような女を助けるような気
なんてない。俺はそう思ったけど明日香に嫌われることを恐れた俺は、あいつの言いなり
に振る舞った。そういうことが続くうちにだんだん俺の仲間内での評判は悪くなっていっ
たのだけど。
俺が新しく付き合い出した明日香のことはすぐに有希に伝わっていた。有希のそのパ
ワーの源泉の半ばはその情報力にあった。あとの半分は人を惹きつける強力なカリスマ性
だ。
知り合いの知り合いを次々に仲間内に引き込んでいくのが有希のやりかただったけど、
俺が新しい女を作ったと聞いた有希は俺に釘を刺したのだ。
「あんたが誰を好きになろうと別にどうでもいいけど」
有希は言った。
「何だよ」
「足元をすくわれないようにしなよ。あんたの新しい女にはあたしたちのビジネスのこと
を話さないでね」
拡大志向の有希には珍しい判断だった。こいつは知り合いの知り合いを組織に誘い巻き
込んでいく形でここまで商売を大きくしたのに。
この頃の俺たちには敵はいなかった。有希に従っていない地元の高校生たちが徒党を組
んだ弱小のグループは他にもあったけど、そいつらは今では俺たちの敵ではなかった。
そのとき何で有希が明日香にだけ例外を作ったのかはわからない。でも俺は口には出さ
なかったけど実は心底ほっとしていた。明日香が不良じみた俺たちに憧れて外見やら行動
を真似るのは別にいい。でもハーブの商売に明日香を巻き込むのは嫌だった。
それは有希が始めた極めて合法的な商売で違法でも何でもない。でもモラル的な面で考
えればこの商売は終局的には俺たちの顧客の人生を狂わせる。玲子ごときに偉そうに指摘
されるまでもなくそんなことは俺にはわかっていた。そんなものに根は純真な明日香を巻
き込みたくはなかった。
1002Res/1204.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。