625:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/25(日) 23:51:25.18 ID:IlNJVsp/o
明日香は自分のことを一人前の不良でビッチだと思い込もうとしていた。俺がそうじゃ
ないと反論するとあいつはひどく怒ったものだ。
『あたしにあんたの幻想を押し付けるな』
それはそうかもしれないけど、やはり明日香の心は不良にもビッチにもなりきれていな
い。俺にはそのことがよくわかっていた。だから明日香をハーブの商売には近づけたくな
かったし有希にも紹介したくなかったから、有希の指示は俺にとっては渡りに舟だった。
俺は明日香のことが好きだ。突然振られた今でもその考えは変わらない。SPIDERに明日
香に呼び出され振られたとき、明日香は突然あいつらしくもなく鈴木奈緒を何とかしろと
言った。
俺の知っている限りでは有希とは違って奈緒は本当のお嬢様で俺たちなんかに関っている
ような女ではなかったから、明日香のその指示には驚いた。そういうことは明日香がもっとも
嫌っていたことなのに。
これには何か訳があると俺は考えた。いったい奈緒というのは何者なのだ。俺にとって
は鈴木奈緒に乱暴するように言われたのはこれで二度目だった。最初は有希による意図不
明の指示でそのときにそれを止めたのは明日香自身なのに。
明日香の提案には気乗りになった風を装ったけど、俺は鈴木奈緒をどうにかしようなん
ていうつもりは毛頭なかった。彼女は有希の親友だ。有希の指示で襲うならともかく俺単
独でそんなことをしようものなら有希にどんな目に合わされるかわからない。
それ以上に俺は明日香の手を汚したくなかった。何が動機だか知らないけれどきっとこ
れは明日香の一時の気の迷いだ。明日香が後になって後悔するようなことはしない方がい
い。明日香と別れたくなかった俺だけどその気持ちには迷いはなかった。
俺はその辺で回想を中断した。それよりも明日はどうしよう。有希の指示は手の混んだ
ものだった。
有希の計画によれば玲子は明日香の午前十時頃には昼間は人気のない路地で三人の
男に捕まって例の場所に連れ込まれることになっていた(その三人のうち俺の知り合いは
一人だけだった。有希のグループはいくつかの小さなグループの集合体で、そいつらは俺
や飯田のグループの仲間ではなかったのだ。有希は俺が怖気づいたりして途中で気が変
わらないようにわざと知り合い以外の男を手配したに間違いなかった)。
そいつらが部屋に連れ込んだ玲子を裸にして縛り付ける。そして玲子にリキッドの静注
をするところまで引き受けるそうだ。俺の役目といえば非常に馬鹿らしいもので、待ち合
わせ場所に来ない玲子を心配して探しに来た振りをしろと言われていた。
つまり玲子を救い出す役目だ。そして俺によって不良高校生から救われて安心している
玲子を、再び本性を現した俺が襲って犯すことにより玲子を絶望の淵に追い込めというの
が有希の用意した筋書きだった。
『よかったね。狙っていた大人の女が絶望して泣いているところを抱けるなんて。興奮す
るでしょ』
俺の電話を受けてからわずか数分でこんな馬鹿げた筋書きを考え出した有希に呆れると
ともに、面識のない大人の女をここまで冷酷に追い詰めることにためらいを覚えない有希
に対して俺は恐れを感じた。
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