過去ログ - ビッチ
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670:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/01(土) 22:32:08.40 ID:LrpdIN9mo

 叔母さんを立たせ車の外に連れ出すのは大変な作業だった。何せ叔母さんは半ば覚醒し
半ば意識が虚ろな状態だった。

 マンションの集中ロックを解除し僕たちを中に入れてくれたのは明日香だったけど、エ
レベーターの中でびっしょりと濡れた叔母さんを必死で支えている僕に対する視線は不機
嫌そうなものだった。さっきまでの必死なほどの心配は明日香の表情から失われていた。

「何で車の中で叔母さんはお兄ちゃんに抱きついたわけ?」

 明日香が疑わしそうに僕と叔母さんを交互に眺めた。僕が駆けつけたとき明日香は既に
運転席側のドアを開けて車の中に顔を突っ込んでいた。助手席には叔母さんがぐったりと
横になっている。明日香では心もとないと思った僕は彼女をどかせて運転席に入り込んだ。
そして目をつぶっている叔母さんに声をかけたのだけど、叔母さんは反応しなかった。

 このままでは埒が明かない。叔母さんの状態が心配になった僕はぐったりとしている叔
母さんの体に手をかけた。こんなときだけど手に触れる叔母さんの体は少女のように華奢
な感触だった。昨日抱いた明日香よりももっと。どちらかというと奈緒を抱きしめときの
感触に近い。

 僕が叔母さんの体をそっと起こそうとしたとき叔母さんは突然目を開けて細い腕を僕の
首に回して僕に抱きついた。

「奈緒人・・・・・・」

 叔母さんの囁き声が耳元で聞こえた。

「な・・・・・・! 何やってんのよ二人とも」

 叔母さんの行動の意味を考える暇もなく明日香が無理矢理狭い車内に突入してきて僕か
ら叔母さんを引き剥がした。

 ようやくエレベータの中に叔母さんを連れてきた僕は明日香に睨みつけられた。叔母さ
んは再び目を閉じてしまい体からも力が抜けている。

 明日香の見境のない不機嫌さに付き合っていられる状況ではなかった。僕はそのとき手
を緩めたらすぐにでも床に倒れそうな叔母さんの体を必死で抱えていたのだから。

「いったい叔母さんってどうしちゃたのよ」

 明日香が不信感を露わにして言った。

「知らないよ、そんなこと。それよりおまえも叔母さんを支えるの手伝って・・・・・・」

「もしかして叔母さんって酔っ払っているだけじゃないの? 酔って・・・・・・お兄ちゃんに、
甥に抱きつくなんて叔母さん最低」

「違うだろ。お酒の匂いとかしないし」

「寝ぼけているだけには見えないよ・・・・・・叔母さん大丈夫?」
 再び不安そうに叔母さんの顔を覗いた明日香が顔色を変えた。「お兄ちゃんこれって」

「何?」

 僕はもたれかかってくる叔母さんの体を必死で支えながら明日香の視線を追った。

 玲子叔母さんの細い首に赤くくっきりと残っていたのは誰か刻まれた歯型だった。


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