724:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/15(土) 23:03:45.33 ID:qyGk20Fno
「先輩こそいい加減にしてください」
夏目さんが怒ったように言った。何か彼女の様子がおかしい。
「罰ゲームって何よ。何であたしのことをからかうんですか? あたしのこと好きじゃな
いなら何であんな思わせぶりな態度をとるんですか」
自信たっぷりだと思っていた夏目さんが今度は泣き出したのだ。
「・・・・・・泣くなよ。わけわかんないよ」
「ひどいですよ。結城先輩、美術史の講義の日からあたしのことを無視するし。あたしの
こと嫌いならはっきり嫌いって言えばいいでしょ」
「あのさあ。僕が君のことを好きなんじゃないかと言ったり嫌いだと言ったり、さっきか
ら何を考えてるんだよ」
「何でわざとあたしの目の前で神山先輩といちゃいちゃするのよ」
夏目さんはついに声を荒げた。
「してないよ、そんなこと」
「あたしを悩ませて楽しんでいるの? 何であたしに思わせぶりな態度を取りながら神山
先輩との仲を見せつけるんですか。あたしを悩ませて楽しんでるんですか」
とうとう夏目さんは普通に喋れないくらいに泣き出してしまった。
もうこのあたりで僕は夏目さんとまともな話は出来ないと悟った。彼女は普通じゃない。
確かに一時期は気になった女の子だったけど、これだけ聞けば十分だった。学内で人気の
彼女は実はメンタル面で問題のある女の子だったのだ。そして運の悪いことにそのメンタ
ルの彼女の関心を偶然にも僕は引いてしまったようだった。
その日、何とか彼女を宥めた僕は、夏目さんをその自宅まで送っていった。キャンパス
から一時間くらいの閑静な住宅地にある彼女の自宅まで。駅から彼女の自宅まで歩いてい
るうちに夏目さんは冷静になったようで、今度はしきりに僕に謝りだした。さっきまでの
激情が嘘のようだった。
夏目さんを送ったあと、僕は大学に向かった。キャンパスに着いて今朝起きた出来事を
ぼうっと思い出していると、今度は理恵に話しかけられた。今までの出来事が嘘みたいに
理恵は明るく僕に話しかけてきた。僕は笑っている理恵に無理に微笑んで見せた。
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