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736:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/18(火) 00:25:44.68 ID:BV7gZxrgo

「君、大丈夫?」

僕は倒れている麻季に手を差し伸べた。そのときの彼女はきょとんした表情で僕を見上
げた。

「怪我とかしてない?」

「……先輩、神山先輩と別れたの?」

僕が麻季を地面から立たせると、それが僕であることを認識した彼女は場違いの言葉を
口にした。

「何言ってるんだよ。そんなこと今は 関係ないだろ」
 僕は呆れて言った。「君の方こそ彼氏と喧嘩でもしたの?」

「彼氏って誰のことですか?」

 相変わらずマイペースな様子で麻季が首をかしげた。男にいきなり平手打ちされて地面
に倒されたというのに、そのことに対する動揺は微塵も見られなかった。

 やはり彼女はいろいろおかしい。

 僕はそう思ったけど、同時に首をかしげてきょとんとしている麻季の様子はすごく可愛
らしかった。綺麗だとか大人びているとか思ったことはあったけど、守ってあげたいよう
な可愛らしいさを彼女に対して感じたのはこのときが初めてだった。

 とりあえず麻季は怪我はしていない様子だったけど、そのまま別れるのは何となく気が
引けていた僕は彼女を学内のラウンジに連れて行った。ラウンジは時間を潰している学生
で溢れていた。そのせいかどうか学内で目立っている麻季を連れていても、僕たちはそれ
ほど人目を引くことなく窓際のテーブルに付くことができた。

「ほら、コーヒー」

「ありがとう。結城先輩」

 麻季は暖かいコーヒーの入った紙コップを受け取った。それからようやく麻季はさっき
の先輩のことを話し始めた。

「よくわかんないの。でも一緒に歩いていたらこれから遊びに行こうって誘われて、講義
があるからって断ったら突然怒り出して」

 それが本当なら悪いのは自分の意向を押し付けようとして、それが断られた突端に麻季
に手を出した先輩の方だ。でも、あのとき先輩は馬鹿にするなと言っていた。

「よくわかんないけど、付き合っているのに何でそんなに冷たいんだって言われた。わた
しは別にあの先輩の彼女じゃないのにおかしいでしょ?」

 やはり内心そうではないかと思っていたとおりだったようだ。


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