過去ログ - ビッチ
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792:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/31(月) 23:56:08.75 ID:AQ0OypmRo

「いろいろとご迷惑をおかけましたけど決心しました。今までお付き合いいただいてあり
がとうございました」

「・・・・・・決めたんだね」

「はい。結城先輩には感謝しています」

 玲菜が言った。

「いや。僕の方こそありがとう」

「先輩さえよかったら今日この後帰宅したとき旦那に離婚を求めようと思います」

「いいも悪いもないよ。僕や麻季のことは気にしないで自分の思ったとおりにしてくださ
い」

「ありがとう」

 玲菜はもう泣かずに僕に向かって微笑んでくれた。

「このあと先輩はどうされるんですか?」

「もう少し考えるよ。君にはいろいろ教わったしそういうことも含めて最初から考えて見
ようと思う」

「それがいいかもしれませんね」

「お子さんは順調なの?」

「・・・・・・しないでください」

 玲菜にしては珍しく乱れた声だった。

「うん?」

「そんなに優しくしないでください。あたし、これから一人で頑張らないといけないの
に」

 玲菜が俯いた。

「最近、先輩があたしの旦那だったらなって考えちゃって。ここまで麻季のことを思いや
る先輩みたいな人があたしの旦那さんだったらどんなに幸せだったろうなって、あたし先
輩とお会いするようになってから考えちゃって」

 後にそのことをで後悔することになるのだけど、このときの僕は黙ったままだった。心
の浮気も有責なのだ。玲菜の毅然とした様子やそれでもたまみ見せる弱さにきっと僕も惹
かれていたのだと思うけど、それを言葉にしてしまえばしていることが麻季や先輩と一緒
になってしまう。

「麻季がうらやましい・・・・・・。ごめんね先輩。お互いに配偶者の浮気に悩んでいるのに、
一番言ってはいけないこと言っちゃった。忘れてください」

 玲菜が立ち上がった。

「今までありがとうございました。誰にも言えずに悩んでいたんで、先輩とお会いしてず
いぶん助けてもらいました」

「僕は何もしていないよ」

 僕はようやくそれだけ言った。

 玲菜が微笑んだ。

「そんなことないですよ、結城先輩。麻季とやり直せるように祈ってます。じゃあさよな
ら、先輩」

「さよなら」

 結局これが生前の玲菜と直接会って交わした最後の会話となった。


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