過去ログ - ビッチ
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835:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/14(月) 22:22:55.72 ID:4uQOXUyEo

 僕は全てを両親と妹に話した。

 麻季の浮気。そして奈緒人への愛情からそれを許して彼女とやり直そうとしたこと。玲
菜に呼び出され麻季と先輩がメールのやり取りを続けているのを知ったこと。そして、玲
菜に最後に会ったときと離婚後の玲菜のメールで彼女が僕を好きだったということを知っ
たこと。僕もそんな玲菜に惹かれていたこと。

 玲菜の離婚後、僕が再び麻季とやり直そうとしたこと。

 そして最後に玲菜の死後、麻季が玲菜が先輩の妻で自分のことを恨まず黙って離婚した
ことを、玲菜の急死後のお通夜で知ったこと。

 麻季は先輩が玲菜の遺児を引き取らないということを知って、その子を引き取ろうとし
たこと(この辺の話は奈緒を引き取る際に両親には説明してあったけど、麻季が奈緒の父
親と浮気をしていたことや僕が玲菜に惹かれていたことは初めて話した)。

 話し終わったとき両親と妹はしばらく何も言わなかった。彼らの気持ちはよくわかった。
僕だって他人からこれほど純粋な悪意をぶつけられたのは初めてだったから。それに麻季
はつい少し前までは他人ではなかった。僕が海外出張を告げたとき、抱きついて甘えてき
た麻季の姿は今でも鮮明に思い浮ぶ。あれはわずか三月ほど前の出来事なのだ。

「・・・・・・お兄ちゃんさ」

 唯が泣き腫らした顔で僕を見て言った。でもその口調は鋭かった。

「今は混乱していると思うけど、することはしておかないとね」

「どういうこと?」

「麻季さんが弁護士を立ててきた以上、こちらもしなきゃいけないことはたくさんあるで
しょ」

 僕は唯の言っていることがよくわからなかった。それに思考の半分は僕に抱きつきなが
らも、二人きりで遊びだした子どもたちに奪われていた。

「まず生活費とか貯蓄の口座を調べて。そして麻季さんが自由にできない状態にしない
と」

 随分生々しい話になってきた。唯は音大で何となく四年間を過ごした僕と違って、国立
大学の法学部を卒業したばかりだ。本人の志向もあって法曹の道には進まなかったけど、
内定している商社では法務部配属が決まっているそうだ。

「あとは養育権だね。お兄ちゃんは麻季さんと離婚しても、奈緒人と奈緒を麻季さんに任
せる気はないんでしょ」

「あるわけないだろ。一週間近く子どもたちを自宅で放置したんだぞ、あいつは」

「だったら養育実績を作って親権争いを有利にしないと。お兄ちゃん、放っておくとこの
まま離婚されて奈緒人と奈緒も麻季さんに盗られちゃうよ。こんなところで腑抜けていな
いでしっかりしなよ。こっちも麻季さんに対抗する準備をしないと。それともお兄ちゃん、
まだ麻季さんに未練がある? 麻季さんと別れたくないの?」


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