過去ログ - ビッチ
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85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/05(水) 22:47:35.02 ID:8xw3Blz8o

 閑静な住宅地の中にそのピアノ教室はあった。外見は普通のお洒落な家のようだった。

「本当にいいんですか? 待っていただいて」

 ナオが言った。

「うん。駅前に戻って時間を潰して十二時半くらいにここへ戻って待ってるから」

「じゃあお言葉に甘えちゃいますね。あたし男の人に迎えに来てもらうのって初めて
です」

 僕は笑った。

「僕だって女の子を迎えに来るなんて初めてだよ。待っている間に食事できるお店を探
しとくね」

「あ、はい。何だか楽しみです。今日は練習にならないかも」

 ナオが赤くなって微笑んだ。

「それはまずいでしょ。都大会の中学生の部で優勝したナオちゃんとしては」

「・・・・・・何で知ってるんですか?」

 ナオは驚いたように言った。

「まあちょっとね」

「何か・・・・・・ずるい」

 ナオが言った。

「ずるいって・・・・・・」

「あたしはナオトさんのこと何も知らないのに。何であたしのことだけナオトさんが知
ってるの?」

 僕は思わず笑ってしまった。知っているのはこれだけでしかもそれは女さんの情報だ
った。あとでそれをナオに説明しよう。

「話は後でいいでしょ。ほら早く入らないと遅刻しちゃうよ」

「・・・・・・ナオトさんの意地悪」

 ナオはそう言って恨めしそうな顔をしたけど結局笑い出してしまったので、彼女の恨
みは全然切実には伝わらなかった。

「後で全部話してもらいますからね」

 ナオは笑ってその家のドアを開けて中に姿を消した。

 ドアを閉める前にナオは僕の方に向ってひらひらと手を振った。


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