84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/05(水) 22:46:19.87 ID:8xw3Blz8o
「ナオトさん運命って信じますか」
そうナオに聞かれたのは二度目だった。最初のときは曖昧な笑いで誤魔化したのだけど。
僕は超常現象とかそういうことは一切受け付けない体質だ。世の中に生じることには全
て何らかの合理的な説明がつくはずだと信じている。
でも前にもここで同じことがあったのだというこの感覚的な印象は、いったいうまく説
明がつくのものなのだろうか。
「よくわかんないや」
僕は再びあやふやに答えた。
「そうですか。あたしひょっとしたらあたしとナオトさんって前世でも恋人同士か夫婦
同士だったんじゃないかって思いました」
ナオは真面目な顔で言った。「ナオトさんと一緒にここを歩いていた記憶って前世の
ものなんじゃないかなあ」
「どうだろうね」
僕にはよくわからなかった。でもナオが感じたその記憶はその時僕も確かに感じたて
いたのだ。
「運命とか前世とかはよくわからないけど・・・・・・昔、ナオちゃんと一緒にこの道を歩い
たことがあるんじゃないかとは僕も思ったよ。その時は夏の夕暮れだった感じだけど」
「あたしも夏の夕方のイメージでした」
ナオが言った。
「一緒だね。まあ前世とかはわからないけど、僕とナオちゃんって結ばれる運命なの
かな」
僕は真顔で相当恥かしいことを言った。
「それです、あたしが言いたかったのも。きっと運命的な出会いをしたんですね。あた
したち」
ナオが考え込んでいた表情を一変させて嬉しそうに言った。
こんな話を聞いたら兄友や女さん、それに妹だって腹の底から笑うだろうな。僕はそ
の時そう思った。まるでバカップルそのものの会話じゃないか。
でも僕にはそのことはまるで気にならなかった。僕はナオの手を握っている自分の手
に少しだけ力を込めた。
ナオの手もすぐにそれに応えてくれた。
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