12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:43:16.98 ID:y3939tJH0
「どうした、千反田」
俺は伊原の隣でかちゃかちゃとやっている千反田に声をかけた。
「あっ、すいません」
話に参加しなくて、という意味だろうか。それとも操作音がうるさくて、か。俺は気にせず先を促す。
「お恥ずかしいのですが、あまり機械は得意でなくて」
千反田は携帯電話を持っている。千反田の小さな掌と同じくらいの、銀色の携帯電話だ。
昨日、千反田が部活を休んだ買い物と言うのは、これのことらしい。
「父親が、持って損はないだろうということですので」
「じきに慣れるって、ちーちゃん。私もすぐに覚えたし」
伊原がこちらを見てくる。意地の悪い笑みとともに向けられた視線の意味がわからないほど、俺は鈍感ではなかった。
無視してやってもよかったのだが、別に伊原と張り合うつもりもない。
「その含みのある視線をやめろ」
「これで文明人じゃないのは折木だけね」
そう、伊原も里志も携帯電話を持っている。学校でこそおおっぴらにしないだけで、他にも持っている学生はたくさんいるだろう。
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