13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/03(月) 22:57:52.03 ID:vt8ebQebo
続けてください
14: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 23:06:36.75 ID:RP1Kzn930
いや……。そういえば。
俺はポケットからそれを取り出す。昨日偶然拾ったそれを。
「俺も持ってるんだ」
15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 23:07:26.08 ID:RP1Kzn930
「いやいや、いいんだよ。お二人とも、お幸せにね」
「だから、そんなことはなくてですね――折木さんも何か言ってくださいっ」
慌てて弁明する千反田などそう易々見られるものではない。俺はもう少し見ていたかったが、助け舟の要請が来た以上、応じなければなるまい。
16: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:15:27.00 ID:kQdfAHEF0
「千反田さん、ケータイの登録はしたかな?」
思い出したふうに里志が言う。
携帯電話の登録? 自転車の防犯登録みたいなやつか?
17: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:16:22.21 ID:kQdfAHEF0
「あの、福部さん。携帯電話の登録ってなんでしょうか?」
おずおずと千反田が尋ねる。
「総務委員会の仕事なんだけどね。最近はほとんどの学生が携帯電話を持ってるし、持ってきている。もちろん校則違反ではあるけど、先生たちだって見て見ぬふりだ。
18: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:20:44.32 ID:kQdfAHEF0
「最近の携帯電話ってのは多機能なんだよ、ネットにつなげたり、カメラもついてる」
「それくらいわかる。バカにするな」
「ごめんごめん。で、千反田さん、登録はしてないみたいだね」
19: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:25:06.10 ID:kQdfAHEF0
咄嗟に席を立った。最早条件反射といってもよい。
「あ、違うんです折木さん。携帯電話のことで聞きたいことがあって……」
その後の古典部の活動は、千反田に携帯電話の使い方を教える時間となった。メール、電話、カメラといった基本的な事項を教え終わったころ、完全下校のチャイムが鳴る。
20: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:28:26.69 ID:kQdfAHEF0
―――――――――――――――――――――
次の日、また生徒が襲われた。またも女子生徒で、塾からの帰り道をやられたという。
二人目、しかも連日でとなると、ちょっとした騒ぎどころでは済まない。記者は取材に来るし、全校集会もあった。警察も聞き込みに来ていたらしい。
21: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:29:32.85 ID:kQdfAHEF0
農家ネットワークのトップにいるのが千反田家だ。考えてみれば確かに、リーダーとしての仕事がこの時期に重なるのかもしれない。
どのような仕事をしているのか、俺には想像もつかない世界だ。農家と言えば年がら年中土と触れ合うばかりのイメージしかないが、それだけで作物が売れるなら、みんな農家になっていることだろう。
「大変だ」
22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:30:32.10 ID:kQdfAHEF0
「……」
「……」
そのまま十秒もたっぷり待って、慌てて千反田が立ち上がった。
23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:31:27.25 ID:kQdfAHEF0
「……何がだ」
最早抵抗する気をなくした俺は、ならば可能な限り省エネにと、進んで千反田の先を促す。
「私はさきほど職員室に行きました。そしたら、福部さんがいたんです」
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