15: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 23:07:26.08 ID:RP1Kzn930
「いやいや、いいんだよ。お二人とも、お幸せにね」
「だから、そんなことはなくてですね――折木さんも何か言ってくださいっ」
慌てて弁明する千反田などそう易々見られるものではない。俺はもう少し見ていたかったが、助け舟の要請が来た以上、応じなければなるまい。
「里志」
「なんだい、ホータロー」
「本気でそう思ってるのか?」
「まさか。ジョークだよ」
肩を竦めて里志が笑った。里志は決して禍根を残したりはしない。そうしてしまえばそれは嘘になる。
「というか、このケータイは拾ったんだ」
「ちょっとあんた、ちゃんと返しなさいよ」
伊原が睨んでくる。俺は昨日本屋にて遭遇した出来事を説明した。
「と、いうことなんだ。今日の帰りにでも店員に渡してくるつもりだ」
「ま、そうよね。折木みたいにわびしいやつがケータイなんて持ったところで、わびしい使い方するだけだし」
失礼なやつだ。俺だって決してわびしいだけの男ではないぞ。
……やめよう。言ってて空しくなってきた。
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