過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/09/13(木) 17:30:15.86 ID:qpP07fyYo

 振り向いた先の視界には大勢の人がいた。人だかりが、僕たちと同じ方を向いて立っていた。
 けれど、視界を埋め尽くすほどの人間を、僕の頭は認識しようとしない。
 そのときの僕に、彼らは蜃気楼のようにぼんやりとした存在に見えた。
 不安になって、僕は姪の方に手を向けようとしたが、やめた。彼女は花火に見入っている。
 邪魔をしたくなかったし、不安がっていると気付かれたくなかった。

 汗がべたついて、気持ち悪い。
 人だかりの向こうから、こちらをじっと見つめている目があった。
 その視線はたしかに、こちらを、というよりは、僕を見つめているようだった。

 周囲の視線が少し上に向かっているのにたいして、彼はまっすぐこちらを見ている。
 その人物の顔は僕のものだった。

 彼は僕に向けて、微笑んだ。
 ――その微笑みに、悪寒が走る。

 以前見たときとは違い、彼はすぐには去ろうとせず、むしろこちらに向けて何かを伝えようとしているふうだった。
 やがて僕の姿をした誰かは、小さく手招きをして、自分の後ろを示した――ように見えた。
 臨時ステージに設置された、パイプ椅子。もう既に、そこには誰もいない。




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