過去ログ - 姪「お兄ちゃんのこと、好きだよ?」男「……そう?
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810:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/04(金) 10:08:00.83 ID:AaYHklSco

 わたしはふと目を覚ますとわたしの部屋にいた。"わたし"の部屋。
 祖父母の家の中に存在する"わたし"の世界の"わたし"の時間の"わたし"の部屋。

 時計の秒針が動く音が聞こえた。カチカチという音。窓から差すカーテン越しの朝の陽ざし。それは以前より柔らかに感じられる。
 わたしの耳はたしかに音を捉えていたし、わたしの目はたしかに光を捉えてていた。

 記憶が判然としない。何が起こったのか分からない。
 でもたしかなのは、目覚める前、意識を失うまでわたしの中にあった何かが欠けてしまっていたことだった。
 だからといって喪失感や欠乏感はなかった。むしろ今まで付きまとっていた余計なものが綺麗さっぱり消えたような気分だった。

 わたしは目を覚ました。
 
 記憶が連結しない。さまざまな認識が途切れている。わたしは目を覚ましてしまった。
 何が起こってしまったのだろう? 彼らはどうなったのだろう? いったい何が起こったのだろう? 
 でも漠然とした感覚だけが胸の内側を支配していた。もう終わってしまったのだ。
 
 分かる? 終わってしまったんだよ、全部。誰かがそう言った気がした。
 でもこの部屋には他に誰もいないし、いまのわたしには誰の声も聞こえないはずなので、たぶんそれは自分の発した言葉だったんだろう。




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