過去ログ - 梓「けいおん!after story?」
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992:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[saga]
2012/11/23(金) 04:16:06.63 ID:Il9WV7Tmo

5月

桜の花びらは全て落ち、木々は緑をその枝に宿し始めた5月。

私と彼は同じ屋根の下で身を寄せていた。

…細かく言えば、身を寄せて共に勉学に励んでいた。


岡崎「わからねえ」

憂「どこ?一緒に頑張ろう」

岡崎「…なあ、やっぱやめないか。意味ないって」

憂「意味はあるよ。後もうちょっと頑張れば、絶対に赤点は取らないから」

岡崎「俺にはとてもそうは思えない」

憂「私は思うもんっ!岡崎君はやればできる男の子だよっ」

岡崎「…はぁ」


彼はため息をついて私のノートを眺め始めた。

……眺めるだけじゃ、勉強は身に付かないって教えたのになぁ。



岡崎「……ええっと、主語を見つけて…動詞を見つけて…ああ、単語の意味がわからん」

憂「……」


それでも、彼なりに一生懸命やってはいるのか、真剣な顔で教科書を眺めている。

…彼についてわかった事、その2。

彼は不器用だけど、人の期待に、一生懸命応えようと努力をする。

それを、自分ではみとめないところが、ちょっと可愛くて、見守りたくなる。


岡崎「な、憂。この albatross って単語なんだけど」

憂「……」

岡崎「…憂?聞いてるか?」

憂「え、あ…ごめんね!…なに?」

岡崎「albatross ってどう訳すんだ?ってか、これ名詞なのか?動詞なのか?」

憂「これは名詞でアホウドリって訳すんだよ。ただ、ゴルフの用語としての使い方もあるけど…それは覚えなくていいと思うな」

岡崎「そっか、サンキュー」

憂「どういたしまして」

岡崎「……♪」

憂「……えへへ」


彼と出会ってから一カ月。

こうして、彼を助けるのが日課になりつつあって、楽しかった。

けれど、心の中にはずっと小さな棘がささっている。

その棘が何故刺さったままなのかも、わかってはいる。


……彼は、お姉ちゃんの代わりなの?

そんな…自分自身への問いかけが、ずっと、ずっと、頭の中をぐるぐるとまわっていた。



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