過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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2012/09/16(日) 18:25:58.90 ID:2r6A/1tO0
(家ねぇ、私は普通の家庭に育ったから、その辺は相談に乗ってあげられないな。家族っていえばさ、私弟がいるんだけど、それはもう可愛くないヤツで、奉太郎、っていうんだけどね)
弟の話をするとき、彼女は可愛らしく温かい表情をした。
(好きな人? あっははっ、色気づいちゃって、部長に変なことでも吹き込まれたの?)
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2012/09/16(日) 18:27:44.15 ID:2r6A/1tO0
(どうだった、特集? 良い出来だったでしょう。感動しましたと言いなさい! 遠垣内君の協力があったんだから、当然でしょう?)
彼女と一緒にいられて、ただ嬉しかった。
(でも残念だなー、今年も新入部員入ってないから、私が卒業したら部員ゼロになっちゃうんだもんね。ね、いっそ金庫に鍵かけて封印しちゃおうか? 古典部、文集の行方はいかに? って感じの伝説が残るかも……なーんてね)
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2012/09/16(日) 18:29:24.59 ID:2r6A/1tO0
(へぇ、卒業したあとのこともう考えてるんだ。悩んでるだけ? それだけでも凄いことだと私は思うな。私は一年生のときは、十年先のことは考えてなかったな。飛躍しすぎ? でも、遠垣内君が思い描いている先は、十年後のことなんでしょう?)
自分のちっぽけな覚悟なんてとっくに見透かされていて、恥ずかしくなった。
(私はね、いろんな世界を見て回るの。見たことない景色を、行ったことのない街を、海を越えて、山を越えて、空も越えてさ。え? 遠くになんて行かないよ。だって、私たちは同じ星に住んでいるんだから、あ、こりゃクサイな)
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2012/09/16(日) 18:34:08.72 ID:2r6A/1tO0
(どうしたの? また相談かな? でも、君はもう答えを見つけているでしょう? いつまでも供恵先輩に頼ってちゃ、駄目だぞ)
彼女と一緒なら、新しい答えを見つけられると思った。
(じゃあね、また、もしも会う機会があれば、先輩面するから――)
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2012/09/16(日) 18:35:31.62 ID:2r6A/1tO0
先輩、俺は、先輩のことが……
(弟がもし神高に入ってきたら、よろしくね、遠垣内君――)
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2012/09/16(日) 18:39:23.99 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
「失礼します」
俺が生物準備室のドアを開くと、壁新聞部の部員たちが談笑しているところだった。段ボールを積んだだけの、簡易テーブルも去年のままだった。ホワイトボードには、『祝、卒業! 遠垣内先輩』と赤ペンで大きく書かれていた。
簡易テーブルの上座に座っていた遠垣内は、俺の姿を認めると、一瞬だけ目を見張った。彼は他の部員に断りを入れ、入り口までやってきた。
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2012/09/16(日) 18:40:59.56 ID:2r6A/1tO0
「俺に?」
遠垣内はさぞ不思議そうに首を傾げた。
「これ、俺の姉が、先輩にだそうです」
俺はポケットから小包を取り出して、遠垣内に差し出した。
遠垣内は息を呑み、大きく目を見開いてから、視線を小包と俺の顔の間を何度も往復させた。やがて、困ったように、観念したように笑った。
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2012/09/16(日) 18:43:08.71 ID:2r6A/1tO0
渡り廊下に出ると、遠垣内は柵にもたれて一度大きく空気を吸い込んで吐き出した。
空を仰ぎ見る彼の目は、遠い場所を羨望するような眼差しだった。
「先輩は、姉……供恵とお知り合いだったんですね」
「……まるで、今日知ったかのような口ぶりだな」
遠垣内は怪訝そうに呟いた。
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2012/09/16(日) 18:47:11.60 ID:2r6A/1tO0
「はい、今日知りました。姉に教えてもらったんじゃありません。この小包も、先輩宛だとはさっきまで分かりませんでした。千反田が、先輩が俺によろしくと言うのは変だと、勘繰ったものですから」
「なるほど。それだけで、お前は全部悟ったわけか」
流石だな、と遠垣内は呆れたような声で付け加えた。
「……おおよそは。本来なら、俺は先輩に会うことも、この小包を先輩に渡すこともなかった。ですが、俺は気付いてしまった。だから俺は先輩にこれを手渡す義務がある」
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2012/09/16(日) 18:48:45.03 ID:2r6A/1tO0
俺は、一つだけ千反田に言っていないことがある。
今俺が手に持っている、姉貴から預かった小包のことではない。俺は三番目の説――『俺がこれからも遠垣内とよろしくする関係にある』――に対して説明をしていない。
「去年の文化祭で、姉に会いましたか?」
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