過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:21:06.80 ID:2r6A/1tO0
「ああ、いいな」
 しかし、間違いなく里志と伊原に今日の話をすることになるんだろうな。面倒だ。
 まあ、いいか。明日は休みだし、今日一日ぐらい、エネルギーを大量消費しても構わないだろう。
 そういえば、あの小包の中身は、何だったのだろうか。手のひらサイズだから、何かの備品か、装飾品か……。
 俺はそこまで考えて思考を止めた。これ以上の詮索は、それこそ野暮というものだ。
以下略



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:23:47.49 ID:2r6A/1tO0
 姉貴のことを考えて、ふと俺は立ち上がった。
 窓を開ける。まだ三月も初旬、冷たい風がひゅうと吹き込み、身体を通り抜けていく。
 よく晴れた空を見上げると、一筋の飛行機雲を見つけた。姉貴の乗った飛行機が残したのかもしれない。なんとなく、遠垣内も今これを眺めているような気がした。


83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:25:50.40 ID:2r6A/1tO0
「あの、折木さん」
 いつの間にか、千反田は俺の傍に立っていた。千反田は空を見上げて、どこか遠い目をした。
 俺は「なんだ」と素っ気無く聞き返す。
「失恋も、別れの一つですよね。私、別れは寂しいだけではありません、別れる時、その人が自分にとってどれだけ大事だったかを知る、大切な機会ですから、と言いましたが、あれ、撤回してもいいですか?」
 どうしてだ、と俺は何故か声が出せなかった。


84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:27:01.37 ID:2r6A/1tO0

「私は、お慕いしている方と離れ離れになるなんて……出来そうにもありません」

「――そうか」
 俺は、飛行機雲を見上げたまま、小さく答えた。


85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:30:34.02 ID:2r6A/1tO0
 こうして、俺の神山高校の初年は幕を閉じた。

 春の息吹を感じるには、まだ早く、冬の吐息を感じるにはもう遅い。
 別れの日々は間もなく終わりを向かえ、出会いが始まる。
 桜のつぼみが、いよいよ芽吹こうとしていた。
以下略



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:31:15.29 ID:2r6A/1tO0
 ◇ ◇ ◇ 

 包み紙を外して、箱を開けると、小さな鍵が入っていた。
 彼は微苦笑し、その鍵を手に落とす。
 ひんやりと冷たい感触。
以下略



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/09/16(日) 19:34:04.86 ID:2r6A/1tO0
以上で終わりです。
呼んでくださった皆様、駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

今日でアニメ最後とか、寂しすぎるぜ…


88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 19:43:18.77 ID:2r6A/1tO0
ちなみに供恵さんの年齢設定は完全に妄想

小説でも彼女は謎めいていて魅力的な人物なので
これから出張る話が増えたらいいなぁ


89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]
2012/09/16(日) 19:44:39.77 ID:5Url5hkUo
乙!
また書いてくれよな


90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)[sage]
2012/09/16(日) 20:13:25.79 ID:CZnByDf7o
おつかれー


91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]
2012/09/16(日) 20:15:30.49 ID:oPCKBVeRo



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:31:30.21 ID:2r6A/1tO0
>>89
>>90
>>91
ありがとうです

以下略



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:32:43.05 ID:2r6A/1tO0
「ちょっと、用事を思い出した。すぐ帰ってくるから、部室で待っていてくれ」
 そう言って、折木さんは私を置いて部室を飛び出していきました。
 追いかけようかと椅子から腰をあげましたが、私は思いとどまりました。待っていてくれ、と言われた以上、きっと私が一緒では駄目なのでしょう。
 私は一人になった部室で、氷菓を手に取りました。
 遠垣内さんの思いが詰まった、氷菓。
以下略



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:33:20.77 ID:2r6A/1tO0
あの時、もっと自分が冷静でいられたら、折木さんにもご迷惑をかけることもなかったのかもしれないのですから。
 そこまで考えて、私ははっとなり、私たちが作った、窓際に飾られた氷菓を見つめました。

 歴史にもし、はありません。けれど、もしあの時、全てを折木さんに解決していただいていなかったら。

以下略



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:34:00.00 ID:2r6A/1tO0
 私は、胸の動悸が激しくなるのを感じました。顔が火照って、苦しいのだけれど、どこか温かな気持ちになりました。
 そして、遠垣内さんが、どうして思い出を閉じ込めておこうとしたのか、わかった気がしました。
 ――なんと切なく、苦い思いなのでしょうか。
 私は供恵さんと遠垣内さんがどのような仲だったか、推し量れません。素敵な時間を過ごされたのだろうとは思います。
 しかし、誰かが誰かを慕うことを、私はどこかで楽観視していたのかもしれません。
以下略



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:34:53.82 ID:2r6A/1tO0
別れは寂しいだけではありません。その人が、どれだけ大事だったかを知る、大切な機会でもあります。
 けれど今、私は自分が言ったその言葉に自信を持てなくなっています。

 折木さんが戻ってきたら、私は、撤回しようと思います。少しだけずるい気がしますが、許してもらえるでしょうか。

以下略



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/09/16(日) 20:36:34.73 ID:2r6A/1tO0
今度こそお終いです
そして麻耶花を出し忘れていたことに今気づいた

気が向いたら今度は麻耶花の話書きます


98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]
2012/09/16(日) 20:39:06.36 ID:5Url5hkUo

面白かったよ


99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/16(日) 21:01:06.01 ID:Q6HfwAT5o
おつおつ。面白かった
にしても今日最終回かー。原作に手を出そうかな


100: ◆axh.jP1Twpjg[sage]
2012/09/17(月) 08:55:28.56 ID:TvJv0Pak0
お疲れ様
姉貴と遠垣内とは珍しい組み合わせ
いいなぁ…


101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/09/17(月) 12:27:34.08 ID:83xDc21IO
>>1ですiPhoneから失礼
>>98
>>99
>>100
ありがとうありがとう
以下略



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