過去ログ - える「折木さんも…ご経験がおありなんですか?」奉太郎「」
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2012/09/16(日) 19:02:36.76 ID:2r6A/1tO0
>>75
誤爆したorz
「確かに受け取ったよ。……供恵先輩は、今は?」
「大学生です。今この瞬間なら、多分、今頃空の上かと」
「そうか、安心した」
以下略
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2012/09/16(日) 19:03:43.38 ID:2r6A/1tO0
「先輩、卒業後はどうされるんですか?」
「県立大の教育学部さ。俺も、自由気ままにやろうと思ってね」
これから散歩でも行くように軽く言ってのけた遠垣内の進路先に、俺は驚きを禁じえなかった。中等教育に影響のある家柄だ、という千反田の言を思い起こす。遠垣内はさぞ家柄というものに辟易していると思っていた。失礼な話だが、俺は煙草を吸っていた遠垣内を、子供じみた反抗を続けるお坊ちゃまだと思っていたのだ。
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2012/09/16(日) 19:04:34.00 ID:2r6A/1tO0
けれど、思い違いだったようだ。遠垣内は、とっくに教育の道に進む覚悟があったのだ。あったのは、それに不満がない、という不満。
だから、遠垣内は、自由奔放でいて、自分をしっかり持っている――あくまで遠垣内の弁ではだが――姉貴に憧れたのではないだろうか。
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2012/09/16(日) 19:05:58.79 ID:2r6A/1tO0
「姉に、いずれ伝えます。遠垣内将司は、しっかりと自分の道を歩いている、と」
俺は真っ直ぐ遠垣内に向き直って言った。
「――ああ、よろしく言っておいてくれ」
俺が今見ている彼の表情は、きっと千反田が見たそれと同じなのだろう。
以下略
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2012/09/16(日) 19:16:21.54 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
部室に帰ると、何所に行っていたのかと千反田に訊ねられた。
「野暮用だ。いくら千反田でも、こればかりは話せん」
黙秘を決め込んだ俺に、千反田は意外にもそれ以上追及してこなかった。珍しいこともあるものだ。
以下略
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2012/09/16(日) 19:21:06.80 ID:2r6A/1tO0
「ああ、いいな」
しかし、間違いなく里志と伊原に今日の話をすることになるんだろうな。面倒だ。
まあ、いいか。明日は休みだし、今日一日ぐらい、エネルギーを大量消費しても構わないだろう。
そういえば、あの小包の中身は、何だったのだろうか。手のひらサイズだから、何かの備品か、装飾品か……。
俺はそこまで考えて思考を止めた。これ以上の詮索は、それこそ野暮というものだ。
以下略
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2012/09/16(日) 19:23:47.49 ID:2r6A/1tO0
姉貴のことを考えて、ふと俺は立ち上がった。
窓を開ける。まだ三月も初旬、冷たい風がひゅうと吹き込み、身体を通り抜けていく。
よく晴れた空を見上げると、一筋の飛行機雲を見つけた。姉貴の乗った飛行機が残したのかもしれない。なんとなく、遠垣内も今これを眺めているような気がした。
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2012/09/16(日) 19:25:50.40 ID:2r6A/1tO0
「あの、折木さん」
いつの間にか、千反田は俺の傍に立っていた。千反田は空を見上げて、どこか遠い目をした。
俺は「なんだ」と素っ気無く聞き返す。
「失恋も、別れの一つですよね。私、別れは寂しいだけではありません、別れる時、その人が自分にとってどれだけ大事だったかを知る、大切な機会ですから、と言いましたが、あれ、撤回してもいいですか?」
どうしてだ、と俺は何故か声が出せなかった。
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2012/09/16(日) 19:27:01.37 ID:2r6A/1tO0
「私は、お慕いしている方と離れ離れになるなんて……出来そうにもありません」
「――そうか」
俺は、飛行機雲を見上げたまま、小さく答えた。
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2012/09/16(日) 19:30:34.02 ID:2r6A/1tO0
こうして、俺の神山高校の初年は幕を閉じた。
春の息吹を感じるには、まだ早く、冬の吐息を感じるにはもう遅い。
別れの日々は間もなく終わりを向かえ、出会いが始まる。
桜のつぼみが、いよいよ芽吹こうとしていた。
以下略
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2012/09/16(日) 19:31:15.29 ID:2r6A/1tO0
◇ ◇ ◇
包み紙を外して、箱を開けると、小さな鍵が入っていた。
彼は微苦笑し、その鍵を手に落とす。
ひんやりと冷たい感触。
以下略
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