過去ログ - アイドル「休暇中にSAOってオンラインゲームしたら閉じ込められた」※微鬱注意
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151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/10/01(月) 21:16:40.25 ID:6PrWWZ5DO

「あっちの方に何か、洞窟みたいなのが見えますよ!」

隊列の外縁に陣取る彼の指差す先を目で追うと、木々に隠れて分かりづらいが確かに洞窟、その入り口らしきものが見えた。

危ない。
彼が忠告しなければ、見落としていたかもしれない。

クライン「でかした! で、アイドルさんどうする?」

スラスト「……入らない方がいいかもしれませんね」

出立する前に確認しておいたが、基本方針は第一に脱出。
クエスト達成なり、条件を満たさなければならないようなら、満たしたのちに脱出となっている。
夜になると視界も一層悪くなって危険だ、という意見もあり、そういう運びとなった。

だから、あくまで脱出優先。
虎穴である可能性も捨てきれない以上、軽率な進入は控えるべきであった。

しかし、予期せぬ事態が起きてしまう。

ロレス「――あれは! お嬢さまのリボンだ!」

洞窟方面の道ばたに落ちた青いリボンを見咎めると、ロレスは血相を変えて走りだす。
独断専行だった。

クライン「うおっ、あのNPC勝手に動きやがって」

スラスト「私達のパーティで連れ戻してきます。すみませんが、待っていてもらえませんか?」

NPCの特性からして、口先八丁で丸め込めば連れ戻すのは可能だろう。

幸い、ロレスはリボンを拾ったところで止まってくれている。戻ってくる気配もないが、洞窟まで十メートルは離れているし、リボン付近の見通しはそう悪くない。
奇襲される心配も薄いのだから、さして問題はないだろう。

クライン「俺らもついてくぜ」

スラスト「あのNPCの行動は私達のパーティの責任ですから」

クライン「水くせぇよアイドルさん、今は連帯責任だ、ってのも固いか。まあとにかくっ、気にすんなってことよ!」

引き下がろうとしないクラインに困って笑い返す。

譲歩を引き出すつもりはなかったのだが、言い方が悪かったか。

スラスト「そうですね……」

他人行儀すぎても結束にぎこちなさを生む。この手のタイプなら尚更だ。

スラスト「じゃあ、お願いします」

「俺達もあのNPCから情報もらってるしなぁ」

「アイドルさん達だけ行かせるのも忍びないっす」

あからさまに悪い顔をする人もいなかったのでさっさと向かう。

スラスト「ロレスさんロレスさん、勝手に行かれたら困ります」

ロレス「あ……すまねえ。このリボン見たら、つい……」

手のひらにリボンを乗せたロレスが謝ってくる。

スラスト「みんな待ってますから戻りましょう」

ロレス「あ、ああ、でも……」

ロレスはそう言って洞窟を見やる。

スラスト「お嬢さまが洞窟にいるとは限らないですよ」

ロレス「…………」

ロレス「わかった」

尤もな正論。
ロレスは、首を縦に振った。



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