過去ログ - ほむら「死神……か」
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15: ◆H5DcZ7AtN.[saga sage]
2012/09/25(火) 20:57:18.46 ID:0QlRdRWDO
折れた指し棒――1本525円をポケットにしまうと、先生の声の質が変わった。
どうやら転校生が来るらしい――
って、普通はそっちの方が大事なはず。
なんか教室に入りたくなさそうな雰囲気出しているし、間違いなく先生の失恋談を聞いちゃったパターンだよね、これ。


少し間を置いて転校生が入ってきて、私は少し驚いた。

「さやかさん?もしかしてお知り合い?」

「そうなるかな。恭介の病室の隣に入院していた子。たまに恭介の病室にいて、よく絵を描いてたよ」

そう、よく絵を描いていた。
『これがさいごの作品です』なんて言っていて、心臓を悪くしていたなんて聞いたから
不安になったが、どうやら病院生活最後の作品という意味だったらしい。

あの絵は確かに最後にふさわしいと思う。
幼なじみのあたしでさえ滅多に見たことのない笑顔で、あの絵は笑っていたのだから。


始めは傍迷惑な芸術家見習いが面白がって描いているように見えた。
ただ彼女の表情を見て、それは違うと思った。どこか、生きることへの執念があった。
彼女が言うに、描くことは生きていた証明のために必要なことらしい。

普通に幸せで普通に不幸、そんなあたしには分からない。そんな何かを背負う少女だった。




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