過去ログ - ほむら「アリゾナは」杏子「今日も暑い」
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37: ◆2GQkBO2xQE[saga]
2012/09/27(木) 23:29:20.59 ID:D0G2CLBIo
「……なにこれ……?」

 指先で弾の一つを摘み上げながら、女が不満そうな声を漏らす。
それは金属の感触とは明らかに違う、硬質だが、弾力を持った不思議な弾丸だった。

「それは暴徒鎮圧用のゴム弾頭です。対象を死に至らしめることなく戦闘力を奪うために作られました」

 手の中で弾を転がす女の前で、ほむらは銃から弾倉を抜き取った後に遊底を引くと、
薬室内に残った弾丸が乾いた音を立てて地面に転がる。攻撃の意図がないことを示すポーズだ。
(女は理解していなかったが)

「人殺しじゃ……ないんだ」

 凶悪犯罪者だと思い込んで襲いかかった侵入者達の真実に困惑しつつも、
外敵に打ち負かされた敗北感に打ちひしがれる女に対して、ほむらが優しげな声で言った。

「本当に申し訳ありません。……しかし、今のでご理解いただけたかと思います。
 そこの赤毛はヤクで頭のイカれた真性のア○ホールで、ドアを壊したのも彼女ですが、
 私はアンおばさんに頼まれた荷物を取りに来ただけ。……預かった鍵がこちらです」

「……それなら――」

 悩ましげに眉をひそめ、真摯に事情を説明するほむら。
女も、ほむらの手元にある鍵や、杏子の凶暴性を目の当たりにしたことで考えを改めようとして、

「――それでもあなたが信じてくれないというならば、あなたの脳味噌に指を突っ込んで記憶を改竄するしか――」
「………………やっぱりぶっ殺す」

 身勝手極まりないほむらの言葉に青筋を立てて怒りを露わにすると、
ほむらは不服そうに眉をしかめ、しげしげと女の顔を見ながらぶつくさ文句を言い始めた。

「敢えて見逃してやろうというのに、とんだ恩知らずね……。……感謝の気持ちというを知らないの?」

「だからさっさとシメちまおうよ! いい加減腹も減ったしさぁ!」

「シメるだぁ!? 出来るもんならやってみろファ○○ン・ジ○○プ共! あんたらの母ちゃんはきのこの山の――」

「――おーい、お嬢さん達。うっかり違う鍵を渡しとってねえ……って、あんたら何をやっとるんだい……?」

 三人が取っ組み合いの喧嘩を始めようとしたその時、ほむらと杏子の背後からアン婦人が姿を現した。

「へ……? 違う鍵って……」

入り口脇で尻餅をつき、反抗的な目で二人を睨み付けていた女は、アンの声を聞くなり目を丸くした。

「……申し訳ありません。アンおばさん。この通り魔が突然銃と刃物で襲いかかってきたので、やむを得ず自衛を――」
「ばあちゃん。ケーサツ呼んでくれよ、ケーサツ! こいつ、ぜってぇイカれてるって! ドア壊したし! ピクルス投げるし!」
「……ふむ……?」

二人は全力で罪をなすりつけながら早口で捲し立て、へたり込んでいる女を指差す。
アンはひょいと背伸びをして、二人の後ろにいる女を見たあと、

「なんだい、ジョディ。こんなとこでなにやってんだ」
「……おばあちゃん……」


 片眉を上げて、その女の名前らしき物を呼ぶ。


「「おばあちゃんーー!?」」



 その意外すぎる展開に、ほむらと杏子は異口同音の叫びを上げた。





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