3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)
2012/09/28(金) 09:37:58.04 ID:egDxkjz6o
ダンブルドアは白黒タイルが貼ってある玄関ホールに入った。全体にみずぼらしいところだったが、染み一つなく清潔だった。背後の玄関ドアがまだ閉まりきらないうちに、痩せた女性が、煩わしいことが多すぎるという表情でせかせかと近づいてきた。とげとげしい顔つきは、不親切というより心配事の多い顔だった。ダンブルドアのほうに近づきながら、振り返って、エプロンをかけた別のヘルパーに何か話している。
「……それから上にいるマーサにヨードチンキを持って行っておあげ。ビリー・スタッブズは瘡蓋をいじっているし、エリック・ホエイリーはシーツが膿だらけで――もう手一杯なのに、こんどは水疱瘡だわ」
女性は誰に言うこともなくしゃべりながら、ダンブルドアに目を留めた。とたんに、たったいまキリンが玄関から入ってきたかのを見たように、唖然として、女性はその場に釘づけになった。
「こんにちは」
ダンブルドアが手を差し出した。ミセス・コールはポカンと口を開けただけだった。
「アルバス・ダンブルドアと申します。お手紙で面会をお願いしましたところ、今日ここにお招きをいただきました」
ミセス・コールは目を瞬いた。どうやらダンブルドアが幻覚ではないと結論を出したらしく、弱々しい声で言った。
「ああ、そうでした。ええ――ええ、では――わたしの事務室にお越しいただきましょう。そうしましょう」
ミセス・コールはダンブルドアを小さな部屋に案内した。事務所兼居間のようなところだ。玄関ホールと同じくみすぼらしく、古ぼけた家具はてんでんバラバラだった。客にグラグラした椅子に座るように促し、自分は雑然とした机の向こう側に座って、落ち着かない様子でダンブルドアをじろじろ見た。
180Res/135.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。