13: ◆HvWr2kWl99Dz[saga sage]
2012/09/29(土) 18:36:59.07 ID:wzXOjhvP0
魔女の結界の最奥で、それは静かに脈動していた。
それはグリーフシードと呼ばれる、魔女を生み出す漆黒の種子。
その様子を、青い髪の少女と奇妙な白い生き物が緊張した面持ちで、遠巻きに見守っている。
彼女こそが美樹さやか、そしてその傍らの生物こそが契約によって魔法少女を生み出すもの、キュゥべえ。
「マミさん……まどか、まだ来ないのかな」
魔女はまだ目覚めていない。けれどその目覚めは近い。
それが分っているからこそ、さやかの声は極度の緊張で張り詰めていた。
「近くまでは来てると思うよ、後は魔女が目覚める前に、マミが間に合ってくれるといいんだけどね」
この様子なら恐らく間に合うだろう。キュゥべえもそう考えていた。
「でも、この魔力の反応は……」
付け加えるように呟いた言葉は、何か気がかりな事があるような口調で。
「魔女でも、魔法少女とも違う……」
「ちょっと、キュゥべえ!あれ、何か動き出してる」
キュゥべえの呟きを遮ってさやかが叫ぶ。
グリーフシードは今にも何かが湧き出て来そうなほどに、禍々しく脈打っていた。
「まずいな、魔女が出てくるよ!」
グリーフシードが姿を変える。そこにあるのは、巨大なお菓子の袋のようなもの。
それは内側から食い破られるようにして裂け、そこから何かが現れた。
ともすれば、愛くるしい姿のぬいぐるみのようにも見える。
けれどそれは遂に目覚めてしまった魔女であり、恐るべき敵。
お菓子の魔女――シャルロッテ。
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