44: ◆HvWr2kWl99Dz[sagesaga]
2012/10/03(水) 13:39:52.39 ID:KNNecZwLo
「ちょ、ちょっとアクアさ……アクアっ!一般人相手に魔法を使うなんて……っ!」
いくらなんでも、マミにとってそれは見過ごせない。
魔法の力は魔女を倒すために使うものであって、一般人相手に振りかざすものではない。
どんな理由や事情があるにせよ、許されてはならない事だった。
「別に死んじゃいないよ。ちょっと邪魔だから吹っ飛ばしただけさ」
悪びれもせずにそう言うアクアに、マミは咄嗟に手を伸ばした。
服の襟元をぎゅっと握って、そのままアクアを睨み付けて。
「もう絶対にこんな事はしないで。それが出来ないなら、貴女は魔女と同じよ。私が貴女に話すことは何も無いわ」
これだけは譲れないと言わんばかりに、マミの語勢は強かった。
アクアもまたマミの視線を真正面から受け止めて、僅かにその目を細め、好戦的な色を浮かべていた。
睨み合う両者、その間には一触即発の、緊迫した空気が流れていた。
「……ま、いきなり右も左もわかんないような場所で、ドンパチやらかすのも不味いか。
わかったよ、普通の奴には魔法は使わない。それでいいんでしょ?」
やがて、アクアは根負けしたかのように軽く鼻を鳴らしてそう言うと、マミの手を振り払った。
「……信じるわよ、その言葉」
一抹の不安は感じつつも、それでもマミはアクアの言葉に頷くのだった。
「それじゃあ私はこの人の治療をしていくから、アクアは少し待ってて頂戴」
いかなる心情の変化があったのか、いつの間にやらマミはアクアを呼び捨てにしていた。
マミはそう言い残し、壁にもたれてばっちり気絶している男の元へと向かった。
「……今更、選べないわよね。そんな道」
どこか、寂しげな呟きを残して。
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