53: ◆HvWr2kWl99Dz[saga]
2012/10/04(木) 16:17:50.28 ID:cUJNQNbAo
「おかしーですねぇ」
一人の男が、不審げに声を漏らした。
そこは不可思議な空間。とは言え魔女の結界ほどに理不尽な空間というわけでもなく。
殺風景で真っ白な空間が、どこまで続いているような場所。
その只中に立てられている柱も地面に突き立てられているわけでなく、中空に浮いたまま固定されていて。
男はその柱の上に座って、頬杖をつきながらなにやら手元の機械を操作している。
「奴等の反応が消えやがりました。今更奴等がメモリアを離れるとは思えねーんですけどねぇ?」
長い銀髪を揺らし、その青白い顔を怪訝そうに顰めた。大きく開けたその額には、不可思議な模様が刻まれていて。
「仕方ありませんねぇ。直接聞いてみましょうか」
諦めたように吐息を一つ吐き出して、男は再び手元の機械を操りだした。それをまるで携帯電話かのように耳元にあて、そして。
「聞こえてやがりますか、コルクマリーさん?」
――ああ、聞こえてるよ。大体用件もわかってる。
「そりゃ何よりですが、いちおー伝えておきます。奴等の反応が消えました。メモリアの方に何か動きはありやがりますか?」
――メモリアも同じだよ。突然彼らが姿を消したらしくて、城内は大騒ぎだ。
機械越しに、コルクマリーと呼んだ相手と言葉を交わして、男は首を傾げた。
「もしかすると、メモリアにとっても予想外の何かが起こりやがったのかも知れませんねぇ。
何が起こるかわかんねーですし、貴方は引き続きメモリアの監視を続けていてください」
――いいのかい?彼らがいないなら、今は仕掛ける絶好のチャンスだと思うけど。
「ええ、メモリア魔方陣はどーしても開幕してもらわなけりゃなりませんからねぇ」
――そうだったね。わかったよ、また連絡する。
「頼みましたよ、それじゃあまた」
会話が打ち切られ、その手の機械を下ろした男の背後には、別の人影が浮かんでいた。
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