3: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:16:22.34 ID:eVP4bQtW0
 部室の扉に、向こうから手を掛けられているのはこちら側からでも分かった。 
  
 そして、ゆっくりと扉は開かれ…… 
  
 俺は多分、いや……俺だけではない。 
4: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:17:03.00 ID:eVP4bQtW0
 俺は唾を飲み込み、扉が開かれるのを待つ。 
  
 早く、早く開けないか、何をもったいぶっているんだ。 
  
 驚くほど、扉が開くのは遅かった。 
5: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:17:29.76 ID:eVP4bQtW0
 入須「……どうした、揃いも揃ってそう見られては、私も恥ずかしいのだが」 
  
 なんという事だ、ここまで必死に考えていたのに……この野郎。 
  
 奉太郎「……なんだ入須か」 
6: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:17:57.03 ID:eVP4bQtW0
 こいつらも多分、俺と同じ事を思っていたのに……薄情な奴らだな。 
  
 ……いや、俺一人を犠牲にすればそれでこの二人は助かるんだ。 
  
 なるほど、これが生存本能と言う奴だろうか。 
7: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:18:28.69 ID:eVP4bQtW0
 入須「……なんだその顔は、私を馬鹿にしているのか」 
  
 当の入須はそれを爽やかな笑顔だな、とは思わなかったが。 
  
 入須「……まあいい」 
8: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:18:56.14 ID:eVP4bQtW0
 奉太郎「……それで、用事はなんだったんですか」 
  
 奉太郎「あなたが古典部に来るとは、珍しい」 
  
 里志や伊原に反し、俺は悪態を付き入須に返答を促す。 
9: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:19:37.57 ID:eVP4bQtW0
 奉太郎「俺がそれを言うと思いますか」 
  
 入須「いや、思わんよ」 
  
 奉太郎「……」 
10: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:20:23.47 ID:eVP4bQtW0
 奉太郎「……」 
  
 俺は少し考える。 
  
 確かにその入須の言葉が本当なら、俺は間違い無くさっきの台詞を言うだろう。 
11: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:20:54.02 ID:eVP4bQtW0
 入須「……くっ」 
  
 今こいつ、笑ったよな。 
  
 俺はバツが悪そうに、視線を入須から逸らす。 
12: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:21:22.77 ID:eVP4bQtW0
 入須「本人から聞いた方が手短に済むだろう」 
  
 何を言っているんだ、こいつは。 
  
 しかし俺の思考は止まっても、入須の動きは止まらない。 
13: ◆Oe72InN3/k
2012/09/30(日) 20:21:56.06 ID:eVP4bQtW0
 奉太郎「……千反田!」 
  
 俺はそのまま、千反田の近くまで行き、千反田を抱きしめる。 
  
 奉太郎「本当に、千反田なんだな」 
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