過去ログ - 極悪人「レイプしてやろうか?」 お嬢様「ええっ!?」
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◆2Ru5HhxpIY
[saga]
2012/12/05(水) 07:12:09.80 ID:EUevemse0
たまーにクライドからリリアンに視点が変わるんだよなぁ・・・
“シャリィーン・・・”
最後の罠にかかったようだ。
依然として目標はこちらに向かってきているらしい。
私は、出窓からゆっくり顔を覗かせた。
(・・・紅のローブ・・・?)
派手なようで、自然の色に溶け込むような色だった。
不思議と存在感を感じさせるが、集中していなければ見逃してしまうような矛盾を、私は奇妙なまでにハッキリと感じ取った。
遠目からでは性別は解らないが、ガッシリとした体格ではないようだ。
そして、その足取りは迷うことなくこの隠れ家に向かっている。
(クライドの知り合いだろうか)
とにかくその人物と私は対面しなければならない。
不審な素振りを見せず、部外者ならば帰ってもらおう。
“トントントン・・・”
扉がきっちり3回ノックされた。
仲間が使う、暗号の“ノック”とは全く違っていた。
このドアを叩いているのは、間違えなく“部外者”だ。
敵意を見せなければ、このまま引き取ってもらおう、今は殺して口封じという手段は敵でもない限り避けたい。
私はすっかり冷たくなったドアノブを握りしめて、扉を開いた。
「こんばんは・・・、こんな天候の中、申し訳ありません」
女性だった。
とても艶やかな声で、男に耳元で甘言すれば愚直な男どもはなんでもやってのけるだろう。
私は平静を保ち、丁重に切り出した。
「何か御用でしょうか?」
女は紅のフードを外して、素顔を見せた。
深い赤色で、肩までサラリとのばしてある髪。
白く透き通る肌には、容易には触れられそうにないほどに鋭い切れ長の目をした女性だ。
冷たい第一印象を与えるような表情を少しも和らげることなく、女は私のあとに続ける。
「私の名前はベレンガリア、とあるお方の使いで、人を探しております。・・・年齢は10代前半で・・・―」
ベレンガリアと名乗った女は冷たい表情のまま、身振り手振りで特徴を教えてくれた。
だが、私の耳には入っていない。
“人を探している”、その言葉で、私は瞬時に来訪者を敵と判別したからだ。
この悪天候の中、わざわざ森の中を歩き回って、人を探しているというのだ。
エウジェーニアの父に仕えている側近か何かだと結論づけるのは想像に難くない。
「・・・」
腰に忍ばせた短剣に、ゆっくり手を伸ばす。
怪しまれないように、自然な動作で、冷たい短剣の柄を掴む。
その冷たさには、今まで数々の人間の血を浴びてきた獰猛さと、触れれば迷わず敵を裂く冷酷さがあった。
―そして、この女は、ここで死ぬ。
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