過去ログ - ■ SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)自治スレッド Part7
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972:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/17(日) 20:18:14.07 ID:X613c9Mc0
本部のある3号棟の南東にあるC=06エリアは、文学部棟という木製の札の立った、比較的古い建物がある。
その1階の端にある大教室には、2人の男子生徒がいた。
5分ほど前に銃声が聞こえた。
それは、混乱する教室内で遠藤勇(担当教官)が持っていた銃の音がもっと長くなったような、あれがマシンガンというものだろうか。
そんな物まで配られているとは、そして、それを使う人がクラスメイトにいるとは、思いもしなかった。

大教室の1番前の席に座り、頬杖をついていた多田尚明(男子11番)は、幾度目かの溜息を吐いた。
無意識のうちに溜息は出てくる。

傍から見ればとても落ち着いて見える尚明は、クラスの中心となっている男子主流派グループ内でも兄的存在となっている。
野球部内では正捕手を務めており、なかなか先発メンバーに入る事ができない甲斐駿一(男子3番)の良き練習相手であり、相談相手だ。
他にも自分とあまり関わりのない事でも相談に乗り、適切なアドバイスをくれる事から、様々な人が尚明に相談事を持ちかける。

尚明はクラス内でトップクラスとは言えないまでも、人並み以上の優れた頭脳と、大抵のスポーツをやりこなす事のできる運動神経を持っている。
少々目が細い事を除けば整った顔立ちをしている。
そのため、女子に人気があるという噂もある。
本人は野球一筋で周りの事に興味がないが(佐倉信祐(男子6番)が羨ましい、などと言って茶化していた)。

一方、教室の前の方でせわしなくうろうろしているのは、持留奏太(男子16番)。
大きな瞳に外はねの猫っ毛、ふっくらと赤みを帯びた頬。
少女のような愛くるしい外見を持つ少年だ。
普段なら愛くるしい笑顔を浮かべているが、今は表情が引き攣っている。

2人は小学校時代からの幼馴染で、昔からずっと、私服で遊びに出かけると、しばしばカップルと見間違えられる。
華奢な奏太に比べて、尚明はがっしりとした筋肉質の体を持つので、仕方がない事かもしれないが。

「…奏太、じっとしてろ」

目の端でちょろちょろと動き回る奏太が、少し鬱陶しいと感じた。
注意すると、その大きな瞳で睨んできた。

「じっとしてる!?
 この状況で!?
 無理に決まってるでしょ、これ、プログラムだよ!?
 もしも誰かが来たら…」

「お前が動こうがじっとしてようが、来る時は来るし、来ない時は来ない」

これでも、物事には動じない方だ。
というよりも、慌てても仕方がないだろう。

尚明の中で考えは既にまとまっている。
クラスメイトを[ピーーー]などという非道な真似はできない。
しかし、死にたくはない。
どうにかしたいが、打開策が見つからない。
だから、とりあえず待つ事にした。
何の確証もないが、果報は寝て待て、というやつだ。


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