過去ログ - 削板「久し振りだな、百合子！」 -SS速報VIP

過去ログ - 削板「久し振りだな、百合子！」

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607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/06(月) 17:02:31.26 ID:h1le+xXXo

２０分ほどして部屋に戻ってきた彼女からはかすかに湯気が立ち上っていた。普段は健康的とは言えない顔色もほんのりと赤味がさしている。

「何だろう…上はだぼだぼなのに下の丈はぴったりって。俺の脚が短いって視覚的に訴えてるわけ？萌え袖に素直に喜べないんだけど。」

「何ぶつぶつ言ってンだ？オマエも風呂入ってこいよ。」

実際には彼女に貸したジャージは少し古いもので、今の彼には若干短い。しかし上の余り具合と下のぴったり具合の対比は多感な年頃の少年にはなかなかダメージが大きかった。何せ少年がこのジャージを着ていた頃は上も下もぴったりだったし。かくして少年は少しばかり気落ちしながら自分も浴室に向かったのだった。
因みに少年は20000号のように「ここに一方通行の生尻が押し付けられたのですね、とミサカは浴槽の椅子を舐めてみます」なんてことは全くしなかった。そういえば下着、ボクサーパンツは貸したけれど上はどうしたんだろう、とかもやもやした思考を巡らせなかったわけではないけれど。

「って言うか、寝る場所どうしようかなぁ。」

そもそもの前提としてこの心優しい少年は、自分のベッドを彼女に明け渡す心積もりでいた。つまり悩みどころは自分がどこで寝るか、ということである。彼女の自室で一つベッドの上抱き合って昼寝をしたこともある少年は、今更上条当麻のように風呂場で寝ようなどとは考えていなかった。
同じ部屋でも、なるべく離れた場所で彼女に背を向けるようにして寝れば彼女の保護者にも言い訳が立つだろうか、などと考えていたら、ある大切なことを失念していたことに気が付いた。

「あいつ、添い寝がないとあまり寝れないんだっけ…。」

彼女を安心して寝させてやりたいのは山々だけれど、自分から添い寝を申し出るのもおかしい話である。彼女の睡眠における悩みは彼女の同居人である芳川桔梗から聞いたもので、恐らく彼女自身は自分がそのことを知っているとは思っていないだろう。それにそんなことをした日には自分が安眠できないだろうし。
そもそも以前一緒に昼寝をしたとき、彼女は発熱のために弱っていた。あんな状態だったから自分を頼ってくれたわけで、もしかしたら今日の場合、強がりな彼女は自分にすら助けを求めてこない可能性すらある。

「一人で悩んでも仕方ないか……。」

実際彼女がどうしたいのか確認しなければどうしようもあるまい、浴室を出て部屋着に着替えた少年は気持ちを切り替えて彼女が一人で寛いでいるだろう自室に戻ることにした。

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