3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/15(月) 10:03:52.61 ID:/Mv+u/E/0
「またマムかい」
風が冷たくなり、コートが手放せなくなった季節。玲子のその日の客は、常連の真宮寺だった。夕方から一晩、という契約で、かれこれ三年以上玲子の癒し屋本舗を利用してくれている。
「だって」
「勝者の酒なんですもの、だろう?」
クスリ、と笑った真宮寺は、君は本当にF-1が好きだ、と言った。そして隣のスツールに滑らかに腰掛け、自分はドライマティーニを注文した。
西暦二千年からF-1のシャンパンファイトにはマムが使われるようになった。
二人の出会いも、例外的にホームページを通してではなく、この店で玲子がマムを飲んでいたことから始まった。
「女性ならヴーヴやランソンのドゥ・セミックがいいんじゃないかい」
三年前の冬、入口で毛皮のコートを預けて店内に入り、カウンターで玲子はマムを注文した。そのとき、横からドゥ・セミック、つまり甘口のシャンパンの方がいいのではないか、と言ってきたのが真宮寺だった。玲子が注文したマム・コルドンルージュはドライで有名なシャンパンだ。女性が好む味ではない。
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