過去ログ - 少女「治療完了、目を覚ますよ」−オリジナル小説
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139:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:13:41.44 ID:FW+Jr7MZ0
ケタケタと、写真で見た壮年男性が笑っていた。

十メートルほど離れた場所に直立不動で立って、
目だけは笑っていない顔で、笑っている。

以下略



140:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:14:12.52 ID:FW+Jr7MZ0
「だから、あなたは狂ってしまった」

血の雨が強くなった。

「麻痺が残った体で、あなたは段々と夢の世界に逃避するようになっていった」
以下略



141:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:14:45.82 ID:FW+Jr7MZ0
「元になんて戻れない。
一度狂ったら、狂い尽くすしかないんだよ。この世は」

男が手を振り上げ、汀の頬を張った。

以下略



142:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:15:22.87 ID:FW+Jr7MZ0
そしてその上に馬乗りになり、
まだパックリと開いている自分の左腕の傷口を彼の口に向ける。

ポタポタと、汀の血が、男の口に入った。

以下略



143:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:16:08.57 ID:FW+Jr7MZ0


「三島寛治。六十九歳。高速道路で、車から転落。
その後、病院に運ばれるも、家族に宗教上の理由で輸血を拒否され、
十分な治療が出来ずに体に麻痺が残る。
以下略



144:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:16:37.19 ID:FW+Jr7MZ0
汀の部屋で、大河内は立ったまま、
すぅすぅと寝息を立てている彼女を見下ろした。

「ここまで負担をかけることもなかった」

以下略



145:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:17:10.38 ID:FW+Jr7MZ0
「汀ちゃんにこれ以上負担をかける治療を行っていくっていうのなら、
元老院にかけあってもいいんだぞ」

「脅しか?」

以下略



146:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:17:45.46 ID:FW+Jr7MZ0
「結果が全てだろ。所詮。元老院だって分かってるはずだ。
今回のダイブだって、アメリカの症例二件を含めなければ、
日本人で初のアルツハイマー型痴呆症患者の治療成功例として登録されたんだ。
褒められはすれど、怒られるいわれはないね」

以下略



147:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:19:36.85 ID:FW+Jr7MZ0
「自殺病を治しただけで、アルツハイマーは治っていない。
それが、患者の幸福に繋がっているとでも言いたいのか!」

胸倉を掴み上げられ、圭介は、しかし柔和な表情のまま口を開いた。

以下略



148:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:20:09.12 ID:FW+Jr7MZ0
「俺達は医者だ」

「…………」

「そしてこの子は、道具だ」
以下略



149:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/10/17(水) 08:20:37.83 ID:FW+Jr7MZ0
「それだけとは、私にはどうも思えないのだがね」

「皮肉か?」

「それ以外の何かに聞こえたのなら、多分そうなんだろう」
以下略



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