過去ログ - 【咲安価】久「麻雀を?」京太郎「ええ、教えてください」 三局目
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115: ◆B6xkwd67zxGJ[saga]
2012/10/22(月) 18:24:15.07 ID:rn40zkgVo

「京ちゃん……それ、なに……?」

「それって呼び方は酷いな。仮にも、お前の姉だろう……?」


 ゆっくりと身を起こす。

 こちらを見る咲の表情には、多分な怯えが混じっている。

 ああ、そういうところが非常に姉妹なのだと――どこか嬉しさを感じた。

 首を鳴らして、彼女に歩み寄る。

 未だに信じられないといった顔をしたまま、後退する咲。

 しかし足がもつれて、倒れこんだ。

 足元をしっかりと見ないから、こうなるのだ。元々どこか抜けているのに、困った少女だ。


「あ……あ、あ……」

「おいおい、そう怯えるなよ……安心しろよ。俺と照さんは愛し合ってるんだからさ」

「ひっ……」


 咲が体を起こすよりも先に、そのもとに詰め寄る。

 そして、手をとって頬擦りをする。ああ、やはり落ち着く。

 心の底から安心できるのだ。ものを言わない女の手には、余計なものを切り取った母性すら感じた。

 恋人になって、睦み合った記憶が思い起こされる。ここには手しかないが、思い出が彼女との愛を呼び覚ましてくれるのだ。

 最高の瞬間を切り取って保存する。お互いに幸せの絶頂のまま、その記憶は永遠になるのだ。

 結ばれて、そののちいがみ合い、そして破局する恋人たちと比べても『幸福』である。

 この一瞬は永遠に。別れることもない、そして色あせることもない愛に身を委ねられる。


「ところで咲……お前も、綺麗な手をしていたよなぁ……」

「や、やだ……離れて……!」

「お前が嶺上開花を部室で決めたとき……初めてあれをみたとき……その時から、思ってたんだ。
 お前の手を切り取って、永遠に保存しておきたい……ってな」

「ひっ……い、いや……!」


 信頼関係を築き上げてから破壊するとき、そこになんとも言えないカタルシスを覚える。

 積み上げた積み木の城を破壊するのと同様に、儚さとそれまでの何もかもが消えてしまう――己の手で消してしまうという行為には、

 何ともいえない昏い快楽が溢れている。


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