3: ◆lSMZP41nLE[saga]
2012/10/29(月) 17:14:24.64 ID:maIzDyKw0
時は三月初旬だった。
面倒なコトは全部済ませて、必要なもンは全部取り返して、降りかかる火の粉は払って、火の元も鎮火した。
俺に、やることはもう残ってなかった。終わってみるとまったくもって味気が無い。クソッタレのハッピーエンドってやつだ。実に笑える。
服屋の店員やファッション誌のモデルたちはもうウールのコートを脱いでやがるが、まだまだ冬の名残が強い。
寒さは布団を恋しくする。惰眠を貪るのが俺の日課となっていた。
芳川は大学の臨時講師とやらの職を(ようやく)見つけた。労働の喜びを発散するがごとく、眠りに身を任せている。
臨時講師の枠は超えないようで、週に多くて四回、少なくて二回ほどらしいが、大学に通うための小遣い稼ぎらしい。目的は果たせているようだ。
番外個体は一足先に食卓に上がっていた。たいそう似つかわしくないお上品な様子で箸を器用に動かしている。
クソガキは言うまでもない。
「お早い目覚めだねっ☆第一位!」
うるせェよ。ものを口に入れたまま喋ってンじゃねェ。
「おはよう、一方通行」
一体全体何事ですかァ?確か今日は日曜日だろォが。
日曜は各々好き勝手済ましている上、朝食に登らず惰眠を貪り続けられる滅多にない機会であった。文句を垂れたくて仕方がない。
「おや?まだ曜日の感覚があったじゃんよ?」
言ってろ。
で?一体何だ。痴呆症にはあと三十年ほど早ェンじゃねェの?
「しっ、失礼じゃん!?私はまだにじゅう―――」
どォでもいい。
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