2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)
2012/10/31(水) 06:03:27.14 ID:rIHr7efd0
序章 1983年11月2日
白い壁板に黒々とした大蛇が這い伝っている。家の前にある樫の大木が風に煽られ、その枝の影が白い壁面に映って巨大な蛇のように見えるのだ。まるでその家をどこから飲み込もうかと思案しながら楽しげに身体を巻き付けているような・・・・。風は一際強くなり蛇はますます激しく家を這い回る。風が強いことを除けばその家がある場所は閑静な住宅街だ。カンザス州のローレンス。カンザス大学の学園都市であり、
美術館、博物館の多いアカデミックで静かな街だ。学生の騒々しさはキャンパスと寮の中に収まっている。その家も近隣の家と同じく瀟洒な一戸建てだった。前庭のよく手入れされた芝生、白いペンキで最近塗られたばかりの壁板、磨き上げられた窓ガラス。三十年前に立てられている家だから少々痛みもあるが、修理を施してありそれほど目立たない。子供が二人いる三十代前半の若い夫婦が住むには理想的な家屋だと言える。部屋の掃除が行き届いているのは綺麗好きの母親メアリーの頑張りで、庭や外壁、庭木が美しく手入れされているのは日曜大工が得意で身体を動かすことが好きなジョンのお手柄だ。そしてランドリーに積み上げられてしまっている洗濯物の山は、二人の育児疲れの現れだ。
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