39: ◆asJU3gh8ZA[saga]
2012/11/10(土) 19:21:32.35 ID:cEU74SRyo
ティファニアが言葉にできたのはそこまでだった。ティファニアの様子に耐えることができなくなった才人が、彼女の唇を塞いでいたからである。
ティファニアは突然のことにやはり驚きを隠せなかったが、才人と唇を重ねているうちに、夢のような心地で才人と唇を交わしたあの船の上での出来事が蘇ってくる。
ああ……わたし……。また、サイトと……。
そんなことを考えているうちに、自らの頬を水滴が伝っていることに気づく。
わたし…泣いてる…?それとも、サイトが泣いてるのかな……。もしそうなら慰めてあげないと…。
ティファニアがどのように考えているかなどは全く考えず、自らの奥底からあふれてくる何かを涙として外へ出しながら、才人はティファニアと唇を合わせ続けた。どうやらティファニアも泣いているらしい。
なぜか才人は、それをとても心地よく感じた。
おそらくは、才人もティファニアも、自分がなぜ泣いているのか分かってはいないだろう。
それでも彼らは、その感情の赴くままに唇を重ね続ける。
二人の中で、永遠とも思えるような長い時間が経過していった……。
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