過去ログ - 見習い魔法使いのいつもと違う一日
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59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/11/09(金) 21:02:31.10 ID:iX4/EhmQo

「え?」
 急に言われたのですぐには理解できなかった。
 ゆっくりとその意味が頭にしみとおっていくのを、もう一人の自分が遠くから見ているような気がした。

「姉を生き返らせようとしたんだ」
 師匠はいつも通りの声で言う。だから少し調子が狂う。
「ぼくは母を早くに亡くしていてね、姉がぼくを養ってくれたんだ。でも病気で死んじゃった」
 あっさりと告げた。

 それからやっぱり気の入っていない声で続ける
「大好きだった。死ぬ前に伝えられなかったそれを、伝えたかったんだ」
 それを最後に師匠は言葉を切った。それからなにも言わないのでずいぶん沈黙が長引いた。

「伝えられたんですか?」
「ああ、なんとか」
 どこか遠くを見るような目で師匠は言う。
「生き返ったのはほんの少しの時間だった。完全に生き返らせることはできなかった」



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