21: ◆Tou2G.k9G331[saga]
2012/11/11(日) 00:45:59.98 ID:6/MOeH3h0
窓とは反対側に位置する扉が開いた。
眼を向けると、少女が顔に恐怖を滲ませながら私を睨んでいる。
整っていながらも、あどけなさが残る顔立ちだ。
そして、この少女もまたエルフの特徴を備えていた。
少女を見つめた時に何か違和を感じたが、それは直ぐに消えてしまい一種の不快のみが残る。
この少女が先ほど彼女が口にした女中なのだろう、と私は見当づけた。
少女は私とエルフの女性を交互に見やる。
私には怯えと警戒の瞳を以って、彼女には不安そうな瞳を以って。
「お入りなさい」
美しいエルフは扉の方へと顔を向けて少女に言った。
相変わらず彼女の双眸は閉じられている。
彼女は眼が見えないらしい。
少女は高くか細い声を出した。
それは私の知る言葉では無かった。
おそらくはエルフ固有の言語だろう。
むろん少女が自身たちの固有言語を用いるのは至極当然のことだ。
むしろ傍に座す女が人間の言語を流暢に話す方が異常なのである。
あまりに自然な発音で、彼女が私たちの言葉を話していることに違和感を覚えなかったほどだ。
盲目のエルフは、やはり私の解せぬ言葉で少女に何かを伝える。
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