過去ログ - エルフ「素敵な顔ですね」
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22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/11(日) 00:55:36.96 ID:6/MOeH3h0
それから彼女は少女の事について説明した。

「この娘は女中――よくよく考えるとこれはあまり正しい表現では有りませんね。
この娘は縁あって私が引き取ったのでございます。
家内の仕事をしたり、私の手伝いをしてくれます」

少女は彼女が自身について話している事を察知したのか、一段と狼狽える。
その白い頬から尖った長い耳にまで、ほんのりとした赤みが差さっていた。

「聡明で良い娘なのですけれど、人間が得意では有りませんので、今は少々落ち着きを無くしていまして」

それは当然の事だろう。
とりわけ私は外見が一般の人間とは大きく異なっている。

「……あかいヘビ」

少女の口から私の祖国の言葉が溢れた。
私は驚き、僅かに目を剥いた。

エルフが説明するには、

「この娘には人語――隣国の言葉を教えているのです」

私は相槌を打ち、それから苦笑した。
私の爪先から頭頂部にまで及ぶ身を縛るような帯状の斑紋を『紅い蛇』と比喩するのはエルフも同様らしい。

「しかし、紅い蛇とは何のことでしょうか?」

盲目の女が愛らしく小首を傾げた。

私はつとめて淡白に答える。
それは私に宿る私への憎悪で有り、私の咎だ、と。

「左様でございますか」

彼女は小さくうなずいて、悲しそうに微笑んだ。

詳細を知らないにも関わらず、私の身の上に深い同情を示す彼女に対して不快感は無く、むしろ深奥にまで彼女の慈愛が沁みこむような心地すらした。



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