49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2012/11/23(金) 09:01:00.25 ID:PDHI6dQO0
食器を片付けた後、私は薪小屋へ行った。
夕食を作るための燃料が足りないからだ。
薪は一週間分を一挙に割ってしまい、厨(くりや)の近くに固めて置くよう少女に指示された。
いつもそうしているそうだ。
薪小屋には乾燥した太い幹がうずたかく積み重ねられていた。
盲目のフィリアや痩身の少女が積み重ねたとは考えられないため、おそらく黒エルフの女が運んだのだろう。
彼女もかなり華奢だが、黒エルフは見た目とは裏腹に膂力に優れているため彼女が大木を運んだとしても不思議ではない。
普通のエルフは黒エルフほど力が強く無いらしいが、実際のところは分からない。
小屋の入り口に手斧が置かれていた。
私は手に取ってみる。
手にちょうど良く馴染む重さで使い勝手は良好のようだ。
刃の両側の表面にはエルフの文字が刻まれている。
発せられる禍々しさから、何か呪術が施されていると判断できた。
苦労しながら幹を一本、取り出す。
それを地面に横たえ、手斧を振り落とした。
細い木ですら横に割るのは非常に困難な事だが、手斧を軽く振るっただけで太い幹は容易く二つになった。
ある程度の大きさになったら土台の木に乗せて割る。
対象の薪は容易く二つになるが、土台の木は傷つかない。
ただ斬れ味を増すなどの単純な呪術ではないようだ。
薪割りは普段少女の役割であるらしいから、長身の女が彼女を慮ってかなり強力な呪術を手斧に施行したのだろう。
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