57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/02(日) 23:49:20.11 ID:PAV+qmgN0
「あの娘は、混血なんです。人間とエルフの。
そのために、町の方々に快く思われていないのです」
慎重に言葉を選ぶような歯切れの悪い口調で彼女は告げる。
その様子から、実際のところは快く思われないどころか、忌み嫌われていることが容易に推測できた。
私は口の中で小さく唸る。
人間とエルフの混血など今まで耳にしたことが無かった。
また、ようやく少女と出会った時に感じた違和の正体に気付いた。
少女には、眼前の女性や黒エルフの女とは違い“人間らしさ”が有るのだ。
それは子ども故かと思っていたのだが別らしい。
「大丈夫です、あの娘は聡明ですから。
貴方様が良い人間であることに早々と気付くはずです」
私は決して良い人間では無い。
原罪どころか許されざる自罪を抱えた身だ。
しかし、敢えて訂正することはしなかった。
彼女は、きっと全てを打ち明けても私を善人だと言う気がしたからだ。
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