343: ◆guueZER6fU[saga]
2013/09/23(月) 04:49:21.60 ID:jeUdwwuO0
しかし、すぐに思い直す。
これから始まることに比べてしまえば、そんなものに対する恐怖なんて些細なものでしかない。
公的機関の警察だろうが、社会の裏で何かしている者が来ようが、皆等しく理不尽な戦いに放り込まれていく。
やはり自分の力で、なんとかするしかない。
思い直して、真は一層憂鬱な気分になった。
やがて、警官等二人の転送が終わった。
部屋に転送されて来るなり他と同じく、やはり戸惑いを隠せない様子で部屋を見回す。
戸惑いつつも長身の男はふと、コートの中に手を伸ばし、中に着ていたシックなスーツの胸ポケットから、何やら革の財布のようなものを取り出した。
「あー、失礼……私はこういう者だが」
と断りを入れながらそれを、部屋を見る限り最も分かりやすく固まっているグループ−−−−−ラバースーツを着た四人に見せつける。
真の立ち位置からもそれは見えたが、それは財布では無かった。
表面に貼り付いている、警視庁と彫られたバッジ。
出で立ちから想像できる通り、どうやら刑事らしい。
なにかの事件で死んでしまったのだろうか?
真の頭の中で、また想像が膨らむ。
「警視庁捜査一課、剣持勇だ。ここは……どこ、なんだ?」
剣持は、早速赤羽根達に質問を投げかけた。
だが窓から見える東京の夜景を見て、『ここはどこか』という自分の質問に疑問を覚えたのか、一瞬言葉が途切れかける。
冷静を取り繕っているが、内面では混乱している様子が見て取れた。
「それに君達、君達のその格好は一体……」
訝しげにラバースーツを顎で指す。
それに赤羽根が何か答えようと口を開きかけたが、その前に。
「警察サンですカ!?助けて下サイ!」
あの外国人の少女が、片言の日本語で叫びながら突然、剣持に飛び付いた。
不意を突かれた剣持は、悲鳴に近い声を挙げて踏みとどまり、混乱を露呈しながら少女に振り返る。
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