368: ◆guueZER6fU[saga]
2013/11/16(土) 02:37:02.86 ID:Z0geXoAn0
そのみりあを励ますように、卯月は小さな肩を抱き寄せた。
しかしその卯月の表情も、決して明るいものでは無い。
「全部現実、なんですか?
私達が死んだのも、その、これからよく分からないものと、命を賭けて戦うっていうのも」
自分の言葉を確認するような口調で、卯月が聞いた。
「まだ信じられないだろうし、ボクも未だに認めたくないけど……全部現実だよ」
「ドッキリとかでもなくて?」
真が頷くと、卯月の表情に一段と濃い影が落ちた。
だがドッキリや夢では無い。残念ながら、それは確かだ。
寄り添い合う卯月とみりあを前に、真は何も言えない。
三人を包み込む沈黙が、どんどん重みを増していった。
どくん、どくん、どくっ、どくっ
それに呼応して、また真の中で心音が大きくなってきた。
(ま、また……)
このままではこの空気に呑まれて、どうにかなってしまいそうだ。
たまらず、真は口を開いた。
「……く、詳しい話はまた後で赤羽根さんと祐喜さんがしてくれると思う。
ところで、改めて君達の名前を聞きたいんだけど、いいかな?」
「あ……はい。
私は島村卯月。卯月でいいです」
「赤城みりあです。私も、みりあって呼んでくださいね」
元気は無いなりにも自分を奮い立たせているのか、二人とも真に対して精一杯微笑んでみせた。
「みりあちゃんに、卯月ちゃん」と二人の名前を呟き、真も二人に笑いかける。
「よろしく、二人とも。
ボクのことも名前で呼んでいいよ」
真への敬い故か、二人は「よろしくお願いします」と声を揃え、ぺこりと頭を下げた。
「うわぁっ!?」
「なんだこれ!?」
その時、部屋の方から新参者達のどよめきが聞こえてきた。
「……え?」
「な、なんでしょうか?」
驚く二人を尻目に、真の脳内には前回の記憶が蘇っていた。
「……多分、転送が始まったんだ。取り敢えず二人とも戻ろう」
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